続く極東の人口減少、自然増減に加え社会増減もマイナス

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2023年03月22日

ロシア連邦国家統計局沿海地方支部は313日、2022年の極東連邦管区の人口動態を発表した。これに対するロシア極東在住の専門家の見方を紹介する。

ロシア極東では1991年のソ連崩壊以降、一貫して人口減少が続いており、2022年もその傾向が変わることはなかった(添付資料表参照)。ただし、その中身を見ると、2021年とは様相を若干異にする。2022年の自然増減(出生者数と死亡者数の差)は減少幅が縮小したものの、社会増減(流出数と流入数の差)では流出が増加していた。

2022年の自然人口増を明確に記録したのは、極東連邦管区ではサハ共和国(ヤクーチヤ)のみだった。チュコト自治管区も若干の自然増を記録した。しかし、この2地域を含む全ての連邦構成体で、新生児の出生数は前年を下回った。死亡者数も域内の全連邦構成体で減少した。新型コロナウイルス感染症による死亡者の減少を反映したものとみられる。

社会増減に目を転じると、2022年は域内の全ての連邦構成体で流出が流入を上回った。域内全体では、2021年が7,579人の転入超過だった一方、2022年は37,559人と大きな転出超過となった。社会増減のうち、約3分の1は外国人による移動(流出)とみられる。

人口動態の実際の状況はさらに深刻になっている可能性もある。その理由は、外国人を含む転入者は転入後一定期間内に移民当局に滞在登録を行う必要がある一方、ロシア人は転出時には必ずしも登録を抹消する必要がないためだ。2022年は軍への部分動員令などの影響でロシア極東地域でも居住地を離れた人も多かったとみられるが、それらの人はいずれ状況が安定した際に戻ってくる前提で登録を抹消していない可能性もある。

(欧州ロシアCIS課)

(ロシア)

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