ECプラットフォームの抖音電商、知的財産権保護報告を発表
(中国)
上海発
2023年03月31日
中国ECプラットフォームの「抖音電商(Douyin EC)」(注1)は3月23日、知的財産権の保護に関する交流会を厦門市で開催、「2022年抖音電商知的財産権保護報告」を発表した(「抖音電商微信大衆号」2023年3月23日)。
同報告によると、「2022年、抖音電商は急速な発展を遂げ、規模も拡大しつつある。他方、知的財産権保護のリスクが高まっており、これらに対応するため、抖音電商はこれまで以上に厳格なブランド参入基準と検査要求を設けた」という。
抖音電商は商標権者と共同検査を行い、登録商標の検査件数が1万4,000件に達した。偽造または無効な授権を悪用する参入申請を防いでいる。また、業界初のライブ配信向けのワンストップ権利保護システムの「IPPRO」をアップグレードし、2万4,000以上の商標権者(企業を含む)にサービスを提供した。そのほかにも、権利侵害行為をしたキーオピニオンリーダー(KOL)に対して1万件以上の処分をしたほか、15万件以上の権利侵害品の販売リンクを削除した。
上述した「IPPRO」のアップグレードのほか、抖音電商が自主的に行う「オンライン観測」もアップデートした。モニタリングの正確性は前年に比べ27%向上し、年間440万件以上の違反商品(注2)の販売リンクについて、アクセスを禁止した。模倣品販売リンク50万件近くを自主的に削除し、模倣品店舗2万1,000店以上を閉鎖、権利侵害行為を起こしたKOLに対する処分は9万1,000件以上となった。また、3万6,000件を超える権利侵害品のライブ配信(直播間)や10万8,000件の権利侵害画像を使用するライブ配信を処分した。2022年末までにライブ配信に対する消費者のクレームは前年比14%減少し、ライブ配信中の模倣品へのクレーム数も前年比15%減少した。
さらに、抖音電商はオリジナル画像保護システムを立ち上げ、効率的な保護手段を通じて、商標権者のオリジナル画像を悪用する行為を取り締まっている。2023年3月時点で、同システムに参入している商標権者は1,800近く、保護された画像は18万件を超え、保護された商品のEコマース取引総額(GMV)は18億元(約342億円、1元=約19円)を超えている。
抖音電商は関係当局の協力によって権利侵害案件12件を取り締まった。権利侵害者110人を逮捕、模造品など権利侵害に該当する商品総額は1億1,000万元に上る。
なお、抖音電商は2023年中に、商標権者がスマホアプリから簡単に抖音電商へ被害報告や対処を要求できる機能の開発を行う計画と発表した。
抖音電商の交流会会場(ジェトロ撮影)
(注1)抖音電商は、上海格物致品網絡科技が提供する中国でのECプラットフォーム。
(注2)違反商品とは、商標権者の商標を悪用した、商標権者と無関係な商品を指す。
(陳貝蓓)
(中国)
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