ホンダ、米国で燃料電池定置電源の実証運用を開始

(米国、日本)

ヒューストン発

2023年03月08日

ホンダは3月6日、米国子会社アメリカン・ホンダモーターの敷地内に燃料電池(FC)定置電源を設置し、同社のデータセンター向けの非常用電源として実証運用を開始したと発表した。本実用性検証の取り組みが、将来の商用化に向けた第一歩となるとしている。

発表によると、今回使用するFC定置電源は、ホンダの燃料電池自動車(FCEV)「クラリティ・フューエル セル」のFCシステムを再利用しており、4基のFCシステムから構成される約250キロワット(kW)のユニットを2台接続することで、合計約500kWの出力を有している。また、ユニットを追加接続することにより、さらなる高出力化が可能となり、その際、各ユニットは上から見てL字形やZ字形など、設置環境に合わせた配置が可能としている。

近年、クラウドやビッグデータ活用の広がりにより、データセンターの必要電力が増加し、事業継続計画の観点でも非常用電源へのニーズが高まっている。データセンターは災害時でも安定した電力供給が求められており、従来ディーゼル発電が主流の非常用定置電源を、クリーンで高品質な電力を供給できるFCシステムに置き換える需要は、今後高まることが予想されるという。

ホンダは今後、自社の国内外の工場やデータセンターにもFCシステムを適用していくことで、自社で排出した温室効果ガス(GHG)の低減も図っていく方針だ。

ホンダは米国での脱炭素化の取り組みを進めており、2023年2月に、燃料電池技術の適用先を自社のFCEV以外にも拡大するため、2020年代半ばに次世代燃料電池システムの販売を開始すると発表した(2023年2月10日記事参照)。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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