ホンダが水素事業拡大に向け次世代燃料電池システム販売へ、米GMと共同開発推進

(米国、日本)

ヒューストン発

2023年02月10日

ホンダは2月2日、燃料電池技術の適用先を自社の燃料電池車(FCV)以外にも拡大するため、2020年代半ばに次世代燃料電池システムの販売を開始すると発表した。販売当初は年間2,000基レベルを想定し、2030年に年間6万基、2030年代後半に年間数十万基レベルの販売を目指す。

同社は、提携する米国ゼネラルモーターズ(GM)と新たな燃料電池システムを開発したとしており、燃料電池の本格的な普及が見込まれる2030年ごろに向け、従来の燃料電池システムと比較して、コストを6分の1、耐久性4倍を目指すという。自社のFCVだけでなく、商用車、定置型電源、建設機械に用途を拡大して販売するとしている。

特に、商用車領域において、日本国内では、いすゞ自動車との共同研究による、燃料電池大型トラックのモニター車を使った公道での実証実験を2023年度中に開始予定だ。中国では、東風汽車集団と共同で、次世代燃料電池システムを搭載した商用トラックの走行実証実験を2023年1月から湖北省で開始している。

同社はこれまで、日本国内では日本水素ステーションネットワーク合同会社(JHyM:ジェイハイム)への参画、北米では水素ステーション事業を行う英国石油大手シェルなどへの支援を通じて、水素ステーション網の拡充を支援してきた。今後は新たな領域として、定置電源を中心に、水素の需要があるところを起点とした水素エコシステムの形成や、政府や地方自治体が主催する港湾などでの大量輸入水素を活用したプロジェクトなどにも参画し、関連する企業各社とのパートナーシップの構築を図るとしている。

将来的には、宇宙領域での燃料電池技術や高圧水電解技術(注)などの水素技術の活用も視野に入れ、研究開発を進める方針だ。

(注)機械式圧縮機(コンプレッサー)を用いて水素を高圧にするのが一般的だが、ホンダは、コンプレッサーを用いずに水の電気分解のみで水素を高圧にできる独自の高圧水電解技術を有している。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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