並行輸入の対象品目が再び拡大

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2023年03月17日

産業商務省は3月15日、ロシアへの並行輸入を認める対象品目リストの変更を承認した。初回リストが2022年5月に公表されて以降(2022年5月16日記事参照)、7月と8月と11月に品目の追加などが行われ、変更は今回で4回目となる。同省のプレスリリースによれば、新たに追加されたのはシェル ヒリックスのエンジンオイルやザヌッシの家電、イヴ・サンローランの化粧品、キャタピラーの農業機械部品など多岐にわたる。新規にリスト入りする商品について、インターネット取引業協会のアルチョム・ソコロフ会長は2023年3月13日付のイズベスチヤ紙で、「消費者の間で商品に対する忠誠心がすでに形成され、需要が高いもの」と語っていた。

全ロシア中小企業連盟「オポラ・ロシア」のアレクサンドル・カリーニン会長によると、ロシア政府が商品の権利所有者による許可なしでのロシアへの輸入を合法化するのは、ウクライナ侵攻後に多くの外国企業がロシア向けの商品供給を停止する中でも「国民に対して慣れ親しんだ輸入製品を手にするチャンスを与えるため」だ(「論拠と事実」3月13日)。政府は現在あらゆる分野で国産化策を打ち出しているが、一朝一夕に達成されるものではない。並行輸入を合法化して輸入を促進している状況について、「企業や最終消費者のニーズを満たすまでに国内メーカーがまだ時間を要するニッチ分野が対象」と説明している(産業商務省プレスリリース3月15日)。

産業商務省は「もし外国企業がロシアに対して商品を供給し、十分な量が店頭に並ぶことになれば、並行輸入を許可する対象からは除外する」と、企業の行動次第で柔軟に対応する構えだ。例えば、ロレアルの化粧品は、同社が2022年3月にロシアでの営業を停止したことを受けて8月に並行輸入品許可リストに入ったものの、その後「ロレアルがロシアへの供給再開を準備している」と複数の地元メディアが報じたことを受けて、11月のリストの更新時には除外された。ただし、その後に、ロレアル側が供給再開のうわさを否定したことから(「ノーボスチ通信」2022年11月10日)、今回再び、傘下のイヴ・サンローランなどのブランドがリスト入りすることとなった。

【欧州ロシアCIS課】

(ロシア)

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