2022年第4四半期GDPはゼロ成長、通年の成長率は2.1%

(スイス)

ジュネーブ発

2023年03月07日

スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は228日、2022年第4四半期(1012月)の実質GDP成長率を前期比0.0%(季節スポーツイベント調整値、注)と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(添付資料表1参照)。内需は堅調に伸びたが、厳しい国際情勢の影響を受けて製造業と輸出は減速した。

4四半期のGDP成長率を需要項目別にみると、設備投資は前期比1.7%増と平均を上回る伸びとなり、特に乗用車への投資は供給状況の改善に伴い増えた。一方で、住宅建築は1年半ぶりに回復の兆しを見せたが商業建築は減少し、建設投資は0.5%減となった。政府消費支出と個人消費支出はいずれも平均をわずかに下回る0.3%増にとどまったが、内需は前期に続き0.5%増と堅調に伸びた。

産業別にみると、世界経済減速の影響を受け、製造業は前期比0.3%減となった(添付資料表2参照)。製造業の中でも、景気循環の影響を受けにくい化学・医療品産業は1.7%増と伸びたが、他の産業は落ち込んだ。観光部門では、新型コロナウイルス感染拡大からの回復が続き、インバウンド旅行客の増加により宿泊・飲食サービス業が前期比1.5%増となったものの2019 年末の新型コロナ禍前の水準をまだ5%下回っている。サービス部門は、全体的にわずかに伸びたが、ビジネス関連サービスは停滞し、金融・保険業は1.0%減と前期に引き続きマイナス成長になった。

2022年通年の GDP成長率(季節、スポーツイベント調整値、暫定値)は前年比2.1%だった。2022年のスイス経済は新型コロナウイルス危機を脱して力強く回復したが、同時に欧州の緊迫したエネルギー情勢や国際情勢の悪化による制約を受けた。

(注)全て季節調整値。ただし、「GDP」「サービス輸出・輸入」「芸術・娯楽・レクリエーション業」については、季節調整に加えてスポーツイベント調整後の数値。

(竹原ベナルディス真紀子)

(スイス)

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