ブラジルがアルゼンチン発の遺伝子組み換え小麦の栽培を承認

(アルゼンチン、ブラジル)

ブエノスアイレス発

2023年03月24日

アルゼンチンの農業バイオテクノロジー企業であるビオセレスは3月3日、ブラジルが、同国内において遺伝子組み換え小麦である「HB4小麦」の栽培、同小麦粉の生産や商業販売を承認したと発表した。

HB4小麦は、乾燥への耐性と、除草剤であるグルホシネート・アンモニウムへの耐性の2つの特徴を併せ持つ小麦だ。栽培・生産が行われているのは現在、アルゼンチンだが、今回の承認によりブラジルが2カ国目の栽培・生産国になることが見込まれる。

ビオセレスは、ブラジル国家バイオ安全技術委員会(CTNBio)による厳しい検査を受けて承認が得られたと説明している。なお、同国は、2021年11月に既にアルゼンチン産「HB4小麦」による小麦粉の輸入を承認している(2021年11月25日記事参照)。

ビオセレスは、2019/2020年度にアルゼンチンで約6,000ヘクタールの栽培面積でHB4小麦の栽培を試験的に開始した。その後、アルゼンチン国内の小麦栽培業者に直接、種を販売する、あるいは、種苗業者を通じて栽培業者に種を販売するなどして、同国全体で5万ヘクタールまでHB4小麦栽培を拡大した。同社は、HB4小麦とそれ以外の小麦の栽培が混ざることがないよう管理を行いながら、栽培されたHB4小麦をすべて買い取り、国内25の製粉業者に販売している。その後、これら製粉業者からパン屋やパスタ工場に小麦粉が販売されているため、アルゼンチン国内ではHB4小麦を使用したパンやパスタがすでに流通している。

ジェトロが3月9日に現地農業協同組合や農畜産業団体などにHB4小麦についてインタビューを行ったところ、海外の消費者がHB4小麦を受け入れることを前提に、「干ばつなどの気候変動への対応にバイオ技術は積極的に活用すべき」との意向を示している。

写真 国内最大の農業展示会「ExpoAgro」に出展していたビオセレス社(3月9日、ジェトロ撮影)

国内最大の農業展示会「ExpoAgro」に出展していたビオセレス社(3月9日、ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン、ブラジル)

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