IHI、米ノースロップ・グラマンと宇宙状況監視で提携

(米国、日本)

ヒューストン発

2023年03月24日

IHIは3月15日、世界的な航空宇宙・防衛メーカーである米国ノースロップ・グラマン(本社:バージニア州フォールズ・チャーチ)と、日本および米国、さらには世界の宇宙安全保障への貢献を目指し、ノースロップ・グラマンの既存の衛星バス(注)を利用して、宇宙状況監視などで必要とされる小型・高軌道人工衛星の日本への提供に向けて覚書を締結したと発表した。

発表によると、静止軌道には気象衛星や準天頂衛星、放送・通信衛星など、多数の衛星が運用されており、社会基盤の一部を構成している。これら衛星に対するサービス事業も始まり、静止軌道を友好的に移動する衛星がある一方で、動き回る挙動不審な衛星も増えているという。このため、日本の国家安全保障局が「国家安全保障戦略」を、防衛省が「国家防衛戦略」を2022年12月にそれぞれ策定し、持続的な経済活動と安全保障の双方の観点から、宇宙領域把握の体制強化や、宇宙状況監視衛星の必要性を明記している。

ノースロップ・グラマンは、低軌道および静止軌道における接近・近接運用能力の実践に強みがあり、顧客にとって鍵となる、多岐にわたるミッション領域をまたぐロジスティクス、軌道上サービスおよび検査能力を提供しているという。

IHIの航空・宇宙・防衛事業領域の副領域長兼IHIエアロスペース社長である並木文春氏は「昨今、他国の軍事状況や能力把握のためさまざまな試みが行われており、安全保障上の脅威となっている。宇宙においても、不審衛星の識別と脅威把握は喫緊の課題と認識している。ノースロップ・グラマンは本分野で経験と実績を持っている。両社は協働の長い歴史もある。課題解決にあたって、ノースロップ・グラマンは最高のパートナーで、協力して宇宙の安定的利用に貢献していく」と述べた。

(注)気象、通信、測位、地球観測など、多くの目的で人工衛星が使用されているが、各目的固有で必要となる機器以外の衛星としての基本機能を実行するために必要な機器・構造を指す。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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