英EU、北アイルランド問題解決に向けた新枠組みを正式採択

(英国、EU)

ロンドン発

2023年03月30日

英国のジェームズ・クレバリー外務・英連邦・開発相と欧州委員会のマレシュ・シェフチョビチ副委員長(EU機構関係・将来予測担当)は3月24日、英EU合同委員会の場で、双方が合意した「ウィンザー・フレームワーク」を正式に採択した(英国側プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますEU側プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

このフレームワーク(枠組み)は、EUからの離脱協定の一部の北アイルランド議定書を巡る問題の解決に向けて、2月27日に英国、EU間で合意したもの(2023年2月28日記事2023年3月2日記事参照)。これに先立つ3月22日、英国側で「ストーモント・ブレーキ」(注1)に関する法案が議会下院で賛成多数で可決。EU側でも3月21日にEU理事会(閣僚理事会)が同枠組みの適用に必要な決定や提言の採択に当たって、合同委員会でEUが取るべき立場の承認と、合同諮問作業部会の手続きの変更への同意に関する2つの決定を採択していた。

欧州委によると、合同委員会の決定と提言(詳細は英国政府ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます欧州委ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)は翌25日から発効としているが、英国側のトラステッド・トレーダースキーム(2023年9月30日に適用開始、注2)など段階的に導入されるものも含まれているとした。欧州委は同枠組みの完全な運用に向けて、2月27日に衛生植物検疫(SPS)、医薬品、関税割り当てに関する3つの法案を提出しており、これらの迅速な採択に向け、欧州議会とEU理事会と協力するとしている。英国でも3月29日に議会上院で「ストーモント・ブレーキ」に関する法案の審議が行われる。

また、クレバリー氏とシェフチョビチ氏は英国、アイルランド、欧州委の間で合意した、北アイルランドおよびアイルランドの国境地域の平和と繁栄を促進するための共同管理プログラム「ピース・プラス(PEACE PLUS)」の合意も歓迎。同プログラムを通じて南北アイルランドをまたぐ経済開発などを進めるとしている。

(注1)北アイルランド議会(定数90)のうち30人の議員の要請に基づき、英国政府がEU法の今後の改正法適用を一方的に停止することができる制度。

(注2)グレートブリテン島から北アイルランドに物品を輸送する場合、認定を受けた事業者による、EUに持ち込まれるリスクのない物品の輸送に限り、税関手続きを大幅に簡略化するスキーム。

(山田恭之)

(英国、EU)

ビジネス短信 497888cac2aaceeb