全経連が日韓経済協力の3大有望分野を提言

(韓国、日本)

ソウル発

2023年03月31日

韓国の全国経済人連合会(全経連、日本の経団連に相当)は3月29日、首脳会議(2023年3月17日2023年3月20日記事参照)を機に関係改善に向かっている日韓関係について、今後の韓国経済の新しい収益源となる新産業分野の高付加価値化に向けた有望な協力分野を提言した。

全経連は、政府系シンクタンクの産業研究院に「新産業分野における韓日協力の増進方策」に関する調査を委託した。委託調査の結果として、日韓協力の有望分野として(1)次世代半導体(注1)、(2)電気自動車、バッテリー、(3)モビリティーを挙げた。

このうち、次世代半導体については、(1)両国の競争優位を活用した基盤技術などの共同開発、(2)韓国半導体メーカーの日本国内での研究開発(R&D)投資、(3)韓国の半導体クラスターへの日本の先端技術企業の誘致などを挙げた。モビリティーでは、(1)自動運転技術、(2)高精度地図の作製技術、(3)バッテリー技術、(4)MaaS(Mobility as a Service、注2)プラットフォーム、(5)量子コンピューティング技術、などでの協力の可能性を挙げた。

報告書は、日韓経済協力が円滑に進むための政策課題として、両政府間の正式な対話チャンネルの再開や新産業分野の協力のためのコントロールタワーの設置などを挙げている。さらに、政治的リスクが両国の経済関係に影響を与えないという信頼関係の構築・醸成が重要と強調している。

(注1)「次世代半導体」とは、明確な定義はないものの、(1)既存の半導体メモリーの高度化、(2)メモリー半導体と非メモリー半導体の融合、(3)シリコン以外の原材料を使用した化合物半導体などを意味している。

(注2)鉄道、バス、タクシーなどさまざまな移動手段およびそれぞれの決済情報を単一プラットフォームに連携させ、最適経路の検索・予約・決済などのワンストップサービスを提供する手段のこと。

(当間正明)

(韓国、日本)

ビジネス短信 4056019312aa1f95