日韓首脳会談を開催、シャトル外交の再開に合意

(韓国、日本)

ソウル発

2023年03月17日

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、3月16日から1泊2日の日程で日本を訪問し、同日、岸田文雄首相との間で日韓首脳会談を行った。会談では、両国の首脳が形式にとらわれず頻繁に訪問する「シャトル外交」の再開で一致したほか、政治・経済・文化など多岐にわたる分野で政府間の意思疎通を活性化していくこととした。日韓安全保障対話の再開に加え、サプライチェーン強靭(きょうじん)化や機微技術流出対策など、両国政府が直面する課題を解決するため、両国間で経済安全保障に関する協議を立ち上げることで一致し、さらに輸出管理分野に関する具体的進展を歓迎した。

また、尹大統領の訪日を契機として、両国の経済団体が未来志向の日韓協力・交流のための「日韓・韓日未来パートナーシップ基金」の創立に歓迎の意を表した。

韓国大統領府によると、尹大統領は首脳会談後の共同記者会見で、「韓国と日本は自由、人権、法の支配の普遍的価値を共有し、経済、安全保障、グローバルアジェンダで共同の利益を追求する最も近い隣人であり、協力すべきパートナーだ」「私と岸田首相は、これまでの冷え切った関係で両国国民が直接・間接的に被害を受けてきたことを共感し、韓日関係を早期に回復させたいということで意見が一致した」と述べた。

今回の首脳会談を受け、「東亜日報」(3月17日)は、米国国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官による「日韓を引き続き支持する」「バイデン大統領は、歴史問題を解決し、両国の関係改善に向けた今回の発表を歓迎した」とのコメントを掲載した。

保守系の「朝鮮日報」は社説(3月17日)で、今回の尹大統領の訪日について「2018年の『徴用(注1)』の判決以降の両国政府の対応措置の大部分が解除され、表面的には韓日関係が徴用判決以前に戻ったと評価できる」としつつも、過去の歴史認識については「尹大統領の決断に対して日本の呼応を求めていた韓国国民の期待には及ばなかった」と指摘した。進歩系の「ハンギョレ」は社説(3月17日)で、「両首脳はこの日、12年ぶりに韓日『シャトル外交』の復活に合意し、両国の『新たな出発』を強調したが、その出発点で、日本は過去の歴史に対する謝罪から逃れ、軍事情報包括協定(GSOMIA)再開などの具体的成果を得た。日本の外交的圧勝だ」と述べた。

(注)旧朝鮮半島出身者労働問題。原文のとおり記載。

(当間正明)

(韓国、日本)

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