カザフスタンの主要国境でトラック予約システムが順次導入

(カザフスタン、中国、ウズベキスタン、トルクメニスタン)

タシケント発

2023年03月01日

カザフスタン財務省歳入委員会は215日、中国、ウズベキスタン、トルクメニスタンとの国境検問所に貨物トラック向け電子予約システムを導入すると発表した。

財務省付属情報・会計センターが「カーゴールクサト(CarGoRuqsat)」と呼ばれる電子予約システムを開発、運営している。利用者は専用ウェブサイトに登録することで利用が可能になる。料金はかからない。利用方法は簡単で、「登録とログイン→国境検問所の選択→通過日時の指定→運転手と車両情報の入力」で予約が完了する。指定日時に検問所へ貨物車両を移動させる(注1)。サイトには各検問所の1カ月の予約状況が表示されており、1日の予約数が一定数を超えると、受け付けを終了する(CarGoRuqsatウェブサイト)。予約時に運転手と車両の情報が自動的に政府のデータベースと照合され、システム上で交通違反などの罰金や有料道路料金の未払い、税金などの滞納の有無がチェックされる。近い将来には、顔認証や、外国人ドライバー向けのクレジットカード情報による認証もできるようになる予定だ。

同システムは20223月からパイロットプロジェクトを実施し(2022年8月24日記事参照)、20231月から対中国国境の検問所ドスティク、ヌル・ジョリ(ともにジェティスー州)で導入されていた(注2、テングリニュース128日)。これに加え、215日から同じく対中国国境のバクティ(アバイ州)、20日からマイカプチャガイ(東カザフスタン州)、22日から対トルクメニスタン国境のテミル・ババ(マンギスタウ州)、27日から対ウズベキスタン国境のタジェン(マンギスタウ州)でも順次導入済み、または導入される。これにより、カザフスタンが参加するユーラシア経済連合(EAEU)加盟国のロシア、キルギスを除く隣接国との主要国境で、貨物トラック用の電子予約システムが導入されることになる。

カザフスタンの国境税関では、通関業務の汚職が横行しており、カザフスタンと中国間の貿易額をカザフスタン側と中国側統計で比較すると、57億ドルの開きが生じたという。また、新型コロナ禍による物流停滞時には、一部の通関事業者による割り込みなどによって、国境検問所でトラックの大渋滞が発生した(大統領公式ウェブサイト202228日、2020年12月25日記事参照)。

(注1)指定日時に貨物トラックが到着しない場合は予約がキャンセルされ、再度予約する必要がある。また、利用規約に違反した利用者に対しては行政措置をし、最大90日間ユーザーアカウントが停止される。

(注2)これまで使用されていた電子予約システム「E-Border.kz」は「CarGoRuqsat」へ段階的に移行する。

(増島繁延)

(カザフスタン、中国、ウズベキスタン、トルクメニスタン)

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