モディ首相、インド訪問のショルツ・ドイツ首相と会談

(インド、ドイツ)

ニューデリー発

2023年03月09日

インドのナレンドラ・モディ首相は225日、同国を訪問したドイツのオラフ・ショルツ首相と首都ニューデリーで会談を行った。モディ首相は、民主主義の価値観を共有する両国間の協力は双方だけでなく、緊張関係が高まる国際社会にとっても意味があると述べ、金融や世界経済に関する首脳会合(G20)議長国としても、対話と平和外交を重視する姿勢をあらためて示した。今回のショルツ首相訪問には、シーメンスやSAPなどドイツ大手企業の最高経営責任者(CEO12人を含む経済ミッション団も同行した。

両首脳は会談に際し、「イノベーションと技術の協力強化のためのインド・ドイツ・ビジョン」を発表した。同ビジョンでは、両国間が取り組むべき分野として「グリーン水素を含むエネルギー連携とクリーン技術」「両国ビジネス関係繁栄のための枠組み・エコシステムの強化」「フィンテックを含むデジタル技術」「人工知能(AI)」「第世代移動通信システム(5G)・6G」の5つを挙げている。

また、ショルツ首相は翌26日の訪問先ベンガルールで、インドがデジタル化やソフトウエア開発の一大拠点とした上で、優秀な技術者によるドイツでの就労を歓迎すると述べた。インド外務省によると、ドイツ在住のインド人は現在約14万人と、欧州では英国(約35万人)、イタリア(約16万人)に次いで3番目に多い。

インドは20215月、EUとの自由貿易協定(FTA)交渉再開に合意し(2021年5月18日記事参照)、継続的な協議を行っている。インドにとってEU内の最大貿易相手国はドイツで、2021年度(20214月~20223月)の対ドイツ輸出は988,334万ドル、同輸入は1496,810万ドルだった。ショルツ首相は訪問中、インド・EU間のFTA交渉について「非常に重要なテーマであり、個人的に貢献したい」(「エコノミック・タイムズ」紙225日)として、早期妥結への期待感を示した。

(ミナクシ・ベルワル、高際晃平)

(インド、ドイツ)

ビジネス短信 3c1f198570666d5d