カナダ政府、ロシア産アルミニウムと鉄鋼の輸入を禁止、米国の対ロ制裁強化に協調

(カナダ、ロシア、ウクライナ、米国)

米州課

2023年03月14日

カナダのクリスティア・フリーランド副首相兼財務相は3月10日、カナダ政府が同日以降、ロシアのアルミニウムおよび鉄鋼製品の輸入を禁止すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

特別経済措置(ロシア)規則の改正により、輸入禁止対象は、HS72類の鉄鋼、HS7301~7306の鉄鋼製品、HS76のアルミニウムおよびその製品となる外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。ただし、3月10日より前に輸入・購入などの契約を締結済みの場合は、適用外になる。なお、カナダが2021年にロシアから輸入したアルミニウムは4,500万カナダ・ドル(約43億6,500万円、Cドル、1Cドル=約97円)、鉄鋼製品は2億1,300万Cドルに上る。

北米においては、カナダに先んじて、米国もアルミニウムや鉄鋼に関してロシアへの制裁を発動しており、2023年2月24日にロシアの金属・鉱物・化学品、およびアルミニウム製品の輸入に対する関税を引き上げると発表している(2023年2月27日記事参照)。さらに、3月10日にはアルミニウム製品の関税率引き上げに伴い、対象製品を輸入する場合にそれらが精錬・鋳造された国を申告することを義務付けると発表している(2023年3月13日記事参照)。

フリーランド副首相兼財務相は「ウクライナはこの戦争で勝利することができるし、勝利しなければならない。プーチンの違法で野蛮なウクライナ侵略に使われる収入を遮断または制限するために、可能な限りのあらゆることを続ける」「カナダは、米国の同日付の制裁発動に協調して、プーチンがカナダ国内でアルミや鉄鋼を販売することで資金を得ることを阻む」と述べた。

ロシアの主要メディアも軒並み3月10日付で、カナダ政府が禁輸を発表したことを伝えている。ほとんどがカナダの発表内容や過去の制裁の経緯を伝えるにとどまるが、一部メディアは「カナダ政府は、このようにウクライナをめぐる状況を背景に、ロシアの歳入獲得を制限している」とのロシア財務省関係者のコメントを伝えている(インターファクス通信3月10日)。

カナダ政府の発表によると、カナダはウクライナに対し、2022年に50億Cドル以上の直接財政支援、軍事支援、人道および移民支援を提供した。このうち25億Cドルが直接的経済支援で、全て提供済みだという。

(高山さわ)

(カナダ、ロシア、ウクライナ、米国)

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