米税関、対ロ制裁対象のアルミ製品の輸入に精錬・鋳造国の申告を義務付け

(米国、ロシア)

ニューヨーク発

2023年03月13日

米国税関・国境警備局(CBP)は3月10日、ロシアへの制裁の一環で同国原産のアルミニウム製品の関税を引き上げることに伴い、対象製品を輸入する場合にそれらが精錬・鋳造された国を申告することを義務付けるためのガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。

ロシア原産のアルミ製品に対する関税引き上げはジョー・バイデン大統領が2月24日に公表した大統領布告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づく措置で、1962年通商拡大法232条を根拠に、(a)3月10日以降にロシア原産のアルミ製品および派生品の一部につき関税率を200%に引き上げるとともに、(b)4月10日以降はロシアで精錬・鋳造されたアルミ1次品(注)を使用しているアルミ製品および派生品の一部に対しても関税率を200%に引き上げる内容となっている(2023年2月27日記事参照)。上記(b)について、ロシアで精錬・鋳造されたアルミ1次品を含むか否かを判定するために、米国に輸入される該当品目については原産国を問わず全て、製品に含まれるアルミ1次品が精錬・鋳造された国を申告することが義務付けられる。今回のガイダンスは、その申告を行う上で必要な情報を示した内容となっている。

対象となる関税分類番号(HTSコード)は、アルミ製品では7601、7604、7605、7606、7607、7608、7609および7616.99.51が指定されている。アルミ派生品では7614.10.50、7614.90.20、7614.90.40、7614.90.50、8708.10.30、8708.29.21が指定されており、自動車用バンパーおよび部分品などが含まれている。その上で、(1)輸入製品に含まれるアルミ1次品につき、量的に最も多いものと2番目に多いものについて精錬された国を申告、(2)輸入製品が最終的に鋳造された国を申告するよう求めている。ロシアへの制裁の実効性を確保するために、当該規制とは関係のない原産国からの輸入にも申告義務が追加されることになり、対象製品の輸入者にとって手続き的なコスト増につながるとみられる。

(注)ホール・エルー法により、アルミナから電解精錬された新たなアルミニウム、と定義されている。

(磯部真一)

(米国、ロシア)

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