2022年の失業率は9.3%に改善、新型コロナ禍からの回復基調続く

(ブラジル)

サンパウロ発

2023年03月06日

ブラジル地理統計院(IBGE)は2月28日、2022年通年の失業率を9.3%と発表した。IBGEは2022年の結果について、依然として約1,002万人の失業者がいる計算となるが、労働市場は明らかな回復をみせたと説明した。IBGEによると、2015年の8.6%以来の水準となり、13.2%を記録した2021年には、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大による影響がみられた。

労働市場の回復を示す指標として、14歳以上人口に占める就業割合が挙げられる。2022年は56.6%となり、これは2015年に57.3%を記録して以来の水準だ。新型コロナ感染拡大の影響を強く受けた2020年は51.2%、2021年は53.2%で、2年連続で改善した。

全国の就業者数は約9,805万人(前年比7.4%増)で、このうち民間セクターで雇用されているのは約4,887万人(10.7%増)。その中で、労働手帳を有する正規雇用数は3,595万人(9.2%増)、民間セクターで労働手帳を持たない雇用数は1,293万人(14.9%増)という内訳だ(注1)。

IBGEのアドリアーナ・ベリングイ全国家計サンプル調査(PNAD)コーディネーターは、大きな雇用を生み出す商業・サービス分野が、年間を通じて回復したことは労働市場の改善につながったと説明した。

経済活動分野別でみると、「商業(バーやレストランなど飲食サービス以外)および自動車およびバイクの修理」における雇用者数が1,893万人(前年比9.4%増)、「宿泊と飲食」が535万人(15.8%増)と、2つのセクターでの雇用創出が失業率の改善に大きく貢献した。

2022年の月間平均賃金は2,715レアル(約7万590円、1レアル=約26円、注2)で、前年比1%減少した。この点について、ベリングイ氏は「2021年の落ち込み(前年比7%減)に比べると2022年はわずかな減少にとどまっており、回復途上を示すシグナルと捉えている」と述べた。

(注1)四捨五入の関係で総計と内訳の合計が一致していない。

(注2)レートは3月1日時点。

(古木勇生)

(ブラジル)

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