武田薬品工業、セルビア政府と覚書締結

(セルビア、日本)

ウィーン発

2023年03月20日

「世界希少・難治性疾患の日」(毎年2月最終日)を控え、武田薬品工業とセルビア政府は2月9日、同国の「BIO4サイエンス・テクノロジー・キャンパスPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(2022年8月8日記事参照)での希少疾病診断の向上を目的とした協力に関する覚書を締結した(セルビア政府の2月9日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

「BIO4サイエンス・テクノロジー・キャンパス」は2025年に開設される予定。国内4カ所で設立し、それぞれが国立データセンターのスーパーコンピュータと直結され、製品開発、メンター、投資家、潜在的なパートナー、知識共有などのエコシステムを提供する見込みだ。

ジェトロが3月17日に武田薬品工業のセルビア拠点に照会したところ、武田薬品工業とセルビア政府との間で今回締結した覚書は、同キャンパスの一角をなすノビ・サド市のAI(人工知能)研究所で、希少疾患診断の向上に最新のAI技術を応用することによって正確な診断が行われるまでの時間を短縮し、医療システムへの負担を軽減することを目的としている。

署名式に参加したセルビアのアナ・ブルナビッチ首相は調印後、「セルビアは過去数年間、遠隔医療を含む幾つかのプロジェクトに取り組んできた。2022年から個別医療をますます発展させ、特に希少疾病に苦しむ人々の医療を改善するために、医療でのAI活用に関するプロジェクトに焦点を当てている」と述べた。

武田薬品工業のキーラン・レアヒ-東欧地域担当取締役は、今回締結した覚書には、希少疾患の診断を適正化するためにAI研究所とセルビアの臨床専門家との間の協力関係も含まれていると述べた。また、武田薬品工業(セルビア)によると、覚書はセルビアの医療を向上させる長期的な協力の継続であり、武田薬品工業の戦略的優先事項には、医療のデジタル化、AIツールの活用によって医療システムの予測可能性と維持可能性を確保する研究のパートナーシップなども含んでおり、セルビア政府の優先事項とほぼ一致しているとも述べている。

(鈴木秀男)

(セルビア、日本)

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