米サウスカロライナ州、アルベマールのリチウム処理施設建設を発表、IRA税額控除要件など受け
(米国)
アトランタ発
2023年03月29日
米国サウスカロライナ州は3月22日、化学品製造大手の米国アルベマール(本社:ノースカロライナ州)が、同州チェスター郡に最新鋭の水酸化リチウム処理施設「メガ・フレックス」(注)を建設すると発表した。投資額は少なくとも13億ドルで、300人以上の新規雇用を創出する予定だ。
新施設は、複数の原料から年間約5万~10万トンの高純度の水酸化リチウムを生産予定で、年間240万台の電気自動車(EV)のバッテリー製造に貢献するとしている(業界誌「NSエナジー」3月23日)。着工時期は2024年後半の見通しだが、稼働時期は明らかになっていない(ロイター3月23日)。
アルベマールは、2015年に米国ロックウッドリチウムを買収してリチウム製造事業を本格化し、EV大手テスラを主要顧客に持つ。同社は米国のほか、ドイツ、チリ、中国、台湾、インド、オーストラリアにバッテリー事業拠点を持つが、インフレ削減法(IRA)(2022年8月17日記事参照)による税額控除要件や連邦政府による補助金も新施設建設の追い風となるとみて、米国内で積極的に事業を拡大している(ロイター3月22日)。同社のケント・マスターズ最高経営責任者(CEO)は、今回の新施設について「増大する顧客の需要に応えるもの」「北米でサプライチェーンが再構築されている中で、サウスカロライナ州でより顧客に近い場所を選んだことをうれしく思う」と述べた。
(注)再生電池からのリチウムを含む、多様なリチウム原料を処理する施設。
(吉田祥子)
(米国)
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