中東の消費市場は拡大の見通し、ジェトロが関連データ集を公開
(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、トルコ)
中東アフリカ課
2023年03月08日
ジェトロは2月21日、調査レポート「新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)による中東消費市場の変化:関連データ集(2.8MB)」を公開した(注1)。新型コロナによる影響からの回復、原油価格の高騰などによる好調な経済見通し(2023年1月16日記事参照)などを背景に、中東の消費市場は拡大する見通しだ。
本レポートによると、エジプトとトルコを含む中東(MET、注2)地域において、食品、飲料、家庭用品、家電製品、自動車、e-コマースなどのセクターは、新型コロナ禍においても成長をみせ、今後も引き続き伸びる見込みとなっている。
特に伸びたのは家電製品で、2019~2021年の販売金額の年平均成長率(CAGR)は15.4%、2021~2023年も18.1%の年平均成長率(CAGR)が見込まれている。そのほかでは、食品は4.9%(2021~2023年の見込みは10.2%)、飲料は4.0%(同18.3%)、家庭用品は4.7%(同5.3%)、自動車(販売台数)は10.1%(同7.8%)、e-コマースは4.1%(同7.7%)となっている。
コンテンツも成長分野だ。特にサウジアラビアとトルコでは、2019~2021年のSVOD(サブスクリプション・ビデオ・オンデマンド)収益のCAGRは50%以上と大きく伸び、2021~2023年も25%前後のCAGRが見込まれている。
新型コロナの影響によって落ち込んでいた分野も、回復の見込みだ。フードサービス・飲食店の販売金額の2019~2021年のCAGRはマイナス12.2%だったが、2021~2023年は24.7%の見込みとなっている。同様に、美容用品・化粧品もマイナス1.5%から6.2%へと回復が見込まれる。
新型コロナによる渡航規制が緩和されたことを受け、観光セクターも回復傾向にある。METでは、2019~2021年の外国からの入国者数はCAGRがマイナス38.6%と大きく落ち込んだが、2021~2023年は45.8%となる見込みだ。それに伴い、インバウンド消費額も、マイナス38.7%から55.9%へとV字回復が見込まれる。
(注1)本レポートは、ジェトロ(ドバイ)がGlobalDataに作成委託し、まとめたもの。2022年10月時点の調査に基づく。
(注2)エジプトとトルコを含む中東(Middle East including Egypt and Turkey):アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、 カタール、オマーン、バーレーン、クウェート、キプロス、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、レバノン、 シリア、イエメン、トルコ、エジプト。
(稲山円)
(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、トルコ)
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