カザフスタンで中国EC向け国際シャトルトレイン運行へ

(カザフスタン、中国、ロシア、ウズベキスタン、タジキスタン)

タシケント発

2023年03月28日

国営カザフスタン鉄道(KTZ)の子会社で、複合一貫輸送サービスを提供するKTZエキスプレスは314日、中国からの電子商取引(EC)商品専用のシャトルトレイン(注)の定期運行を開始すると発表した(KTZウェブサイト314日)。

KTZエキスプレスの発表によると、中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市からアラシャンコウ(カザフスタン側ドルージバ)を経由してロシア、ウズベキスタン、タジキスタン方面へ貨物を輸送する。目的地駅までの輸送日数は710日を予定する。週1便運行し、輸送量の増加に合わせて増便する予定だ。国内では配送大手アタス・ロジスティクスと業務提携し、ドアツードア・サービスも提供する。

一方、ジェトロによるKTZエキスプレスへのヒアリング(2023327日)によると、今後細部手続きの確認や試験運行の実施などを経る必要があるため、最終的な定期運行の開始までにはある程度の時間が必要だという。

カザフスタンと中国間の貨物輸送量は急速に増えており、2022年の貨物輸送量は過去最大の2,300万トン(前年比15%増)を記録した(KTZウェブサイト228日)。貨物輸送量の急増にともない、遅延リスクも生じている。中国の通関における新型コロナウイルス感染症の検疫撤廃により、中国国境のホルゴスにある対中自動車国境ヌル・ジョリ検査場ではカザフスタン側が導入した通関手続きの電子予約システム(2023年3月1日記事参照)の処理が追いつかず、渋滞が発生している。2023313日に、アリハン・スマイロフ首相が対策会議を主催し、関係機関の協力により同検査場での1日の処理能力を中国からの貨物で3倍の500台、中国向けの貨物で2倍の200台に改善させている(カズインフォルム317日)。

KTZは、デジタル化の普及によりECの需要が世界的に高まる中、商品の主要供給国である中国に隣接するカザフスタンの地理的優位性を生かし、拡大するEC市場で、スピーディーな配送と低コストを売りにしたサービスを提供することで競争力の強化を目指すとしている。

(注)特定の駅を結び、途中駅でコンテナの再配列などを行わない定期運行サービス。配送のリードタイムが短縮でき、遅延するリスクも少ない。

(増島繁延)

(カザフスタン、中国、ロシア、ウズベキスタン、タジキスタン)

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