世界最大級医療機器見本市「アラブヘルス」開催、ヘルスケアサービスの質向上への取り組みを紹介

(中東、アラブ首長国連邦、日本)

海外市場開拓課

2023年03月13日

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで130日~22日、中東最大の医療機器関連見本市「アラブヘルス(Arab Health)」が開催された。48回目となる2023年の開催テーマは「ヘルスケアにおけるイノベーションとサステナビリティ(持続可能性)」で、70を超える国から3,000社・団体以上が出展するとともに、44カ国の国別パビリオンが設置され、延べ13万人を超える来場者が集まった。

国別の出展企業・団体数の最多は中国(392社)で、ドイツ(311社)、インド(260社)、米国(221社)、英国(185社)が続いた。日本からは35社が出展した。アラブヘルスは世界中の国・地域から出展者と来場者が集まり、毎年11月にドイツで行われる世界最大医療機器見本市「メディカ(MEDICA)」と並び、医療機器分野においては世界の2大展示会に位置付けられている。

写真 アラブヘルス会場内の様子(ジェトロ撮影)

アラブヘルス会場内の様子(ジェトロ撮影)

世界的な医療機器大手メーカーなどが集まる画像診断分野などのメインホールでは、米国のGEヘルスケア、ドイツのシーメンスヘルスケア、オランダのフィリップス、中国のマインドレイ、日本のキヤノンメディカルシステムズや富士フイルム、オリンパス、島津製作所、日本光電工業などが大型ブースを構えた。

中東の政府関係ブースなどが集まるホールでは、国営病院エミレーツ・ヘルス・サービス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが、世界発の子供の外傷性脳損傷などの非手術的治療法や、AI(人工知能)、ロボット手術などの最先端テクノロジーを活用したプロジェクトのPRを行った。

また、アラブヘルス史上最大の1,200平方メートルのブースを設置したUAE保健・予防省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのブースでは、EJADAHという、2025年までに30の疾患分野におけるバリューベース・ヘルスケア・モデル(注)を導入する計画が紹介された。このモデルは、病院などが、ヘルスケアサービスや治療の提供数などといった「量」ではなく、患者の治療結果などといった「質」に対して支払いを受けるようになる、患者を中心に捉えた新たなヘルスケアシステムについての考え方だ。さらに、同省が現地のヘルスケアサービスの質向上や効率化を目的に推進している、官民連携の取り組みのプロジェクトなどが紹介された。

会期中は、ムハンマド・ビン・ラシード・アール・マクトゥーム・ドバイ首長らの要人が訪れた。開会式のスピーチでは、同首長が「UAEを世界で有数の住みやすく働きやすい国にするという目標に向かい、人材開発と福祉の水準を高めるために、常に進化を続けていく」と話し、同国の今後の医療ニーズ拡大見込みを背景に、地域への優秀な医療人材の呼び込みなどを行った。

(注)バリューベース・ヘルスケアとは、医療の効果を最大化し、コストを適正化するために、医療のアウトカムに着目するという考え方。

(檜山祐貴、宮崎アナスタシア、太田尭久)

(中東、アラブ首長国連邦、日本)

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