英財務相、2023年度予算を発表、復職支援や企業の投資促進などに焦点

(英国)

ロンドン発

2023年03月16日

英国のジェレミー・ハント財務相は3月15日、2023年度(2023年4月~2024年3月)の予算を発表した(英国政府ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、注1)。ハント財務相が1月27日に発表した優先分野の「雇用(Employment)、教育(Education)、企業(Enterprise)、あらゆる場所(Everywhere)」という4つの「E」(2023年2月6日記事参照)を今回の予算でも優先事項として掲げた。主な取り組みとしては、共働きの親向けの無料チャイルドケア提供や、高齢者の復職支援、企業の投資促進に資する税制改革などを挙げた(添付資料表参照)。また、新たな増税は盛り込まなかった。

また、2022年10月1日から導入している家計向けのエネルギー価格負担軽減策の「エネルギー価格保証」(2022年9月9日記事参照)について、現在の水準〔標準的な家庭のガス・電気使用量の場合、年間2,500ポンド(約40万円、1ポンド=約160円)〕を4月から3カ月間維持することを発表。ハント財務相は、歳出削減のため2022年11月に発表した秋季経済計画(2022年11月18日記事参照)で2023年4月以降の上限を3,000ポンドに引き上げるとしていたが、今回それを撤回したかたちだ。家計支援のため燃料税の増税も取り消す。グリーン関連では、二酸化炭素(CO2)回収・有効利用・貯留(CCUS)の早期展開のため、最大200億ポンドを投じるとしたほか、原子力についても、意見公募次第ではあるものの、グリーンタクソノミー(注2)に分類する意向を示した。

今回の発表に合わせて、予算責任局(OBR)は2023年の経済・財政見通しを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。2023年のGDP成長率をマイナス0.2%とし、2022年11月発表のマイナス1.4%から上方修正した。11月以降、経済状況の改善は見られたものの、企業による投資や労働供給、生産性など構造的な弱さが残るとした。インフレ率については、2022年10月の11.1%をピークに2023年末には2.9%まで低下すると予測した。

(注1)企業税制、労働市場関連の措置については、ファクトシートも参照(企業税制外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます労働市場外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(注2)環境的に持続可能と定義できるグリーン投資の基準。独立した専門家グループ「グリーンアドバイザリーグループ」の助言を得て、英国政府が提供する枠組み。

(山田恭之)

(英国)

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