金融、科学技術分野での党の指導を強化、中央金融委員会や中央科学技術委員会を設立

(中国)

北京発

2023年03月22日

3月16日に、中国共産党中央委員会(党中央)と国務院(内閣)による「党・国家機関改革案」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが公表された。第14期全国人民代表大会(全人代)第1回会議で提議された国務院の組織再編(2023年3月10日記事参照)に、党中央、全人代、政治協商会議などの組織再編も加えたもの。

党中央については、(1)中央金融委員会、(2)中央金融工作委員会、(3)中央科学技術委員会、(4)中央社会工作部、(5)中央香港・マカオ工作弁公室の5組織が新設される(添付資料表参照)。

うち、金融、科学技術については、新たな組織を通じて党中央の集中的・統一的指導を強化するとしている。中央金融委員会、中央科学技術委員会はそれぞれの分野で制度設計や政策立案に関する統一的な調整などを担う。

全人代については、全国人民代表大会常務委員会代表工作委員会を設立する。代表(議員)数の分配、資格審査、連絡業務などを行う。

政治協商会議については、環境資源分野の代表を新設する。その他、中国共産主義青年団(共青団)代表と中華全国青年聯合会代表を統合するとともに、「特別招待者」委員(注)の構成を調整する。

なお、全人代での提議で各機関に一律で5%の定員削減が求められていた点については、省・直轄市・自治区レベルでは実情に応じて決定するほか、県、郷レベルは対象外とされた。

中央党校公共管理教研部の王満伝主任は今回の改革について、金融、科学技術、社会の管理体制整備が重点となっており、党中央に組織を設けることで集中的・統一的指導を強化することが狙いだとしている(「潮新聞」3月19日)。

また、北京師範大学政府管理学院の于海波教授は中央科学技術委員会の設立について、これまでよりも高いレベルで科学技術業務の統一的管理を行うもので、科学技術の「自立自強」促進に対する党中央の力の入れ方と決心を表したものだとしている(「央広網」3月18日)。

(注)政治協商会議は、共産党をはじめとする政党、商工団体や婦人団体などの各種団体のほか、文化芸術分野、科学技術分野、経済分野、少数民族などの代表が参加している。いずれにも当てはまらない代表のカテゴリーとして「特別招待者」の枠が設けられている。

(河野円洋)

(中国)

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