2月の米小売売上高は前月比0.4%減、2カ月ぶり減少、政策金利据え置き予想高まる

(米国)

ニューヨーク発

2023年03月16日

米国商務省の速報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(3月15日付)によると、2月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.4%減の6,979億ドル(添付資料表参照)と、2カ月ぶりの減少に転じ、ブルームバーグがまとめた市場予想と一致した。なお、1月の売上高は、前月比3.0%増(速報値)から3.2%増(改定値)に上方修正された(2023年2月16日記事参照)。

自動車・同部品、フードサービス、ガソリンスタンドなどが押し下げ要因に

業種別にみると、自動車・同部品が前月比1.8%減の1,306億ドル、寄与度マイナス0.34ポイントで全体を最も押し下げた。次いで、フードサービスが2.2%減の927億ドル(寄与度マイナス0.29ポイント)、ガソリンスタンドは0.6%減の584億ドル(同マイナス0.05ポイント)と減少に寄与した。一方、無店舗小売りは1.6%増の1,127億ドル(同プラス0.25ポイント)と増加した。

今回の発表を受けて、全米小売業協会(NRF)のマシュー・シェイ会長兼最高経営責任者(CEO)は「銀行・金融市場の最近の不安定な状況は経済の不確実性を高めているものの、雇用と賃金は上昇し、インフレ率が低下傾向にあることから、消費経済のファンダメンタルズは依然として強固なものとなっている」と述べた。また、NRFのチーフエコノミスト、ジャック・クラインヘンズ氏は「売上高は前年を上回っており、これは労働市場が堅調で、収入と支出が増えていることが大きな要因」とした。ただし、同氏は「(新型コロナウイルスの)パンデミック後の不規則な消費行動を考慮し、政府が月次データに適用している季節調整値により、消費者の堅調さを正確に測定することが難しくなっている」とも指摘した。

また、民間調査会社コンファレンスボードが2月28日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした2月の消費者信頼感指数は102.9と、1月(106.0)より3.1ポイント減少し、2カ月連続の低下となった(添付資料図参照)。内訳をみると、現在の雇用環境や経済状況を示す現況指数は152.8(1月:151.1)で1.7ポイント上昇した。6カ月先の景況見通しを示す期待指数は69.7(1月:76.0)で6.3ポイント減少した。期待指数が80を下回ると景気後退のリスクが高まっていることを示しており、先行きに対する消費者の懸念は高まっている。

コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターのアタマン・オジルディリム氏は「現在の景況感に対する消費者の見方は2月に悪化したものの、労働市場に対する好意的な見方から、現況指数はわずかに上昇した」述べた。同氏によると、職が「十分」と見なす回答者の割合は52%に増加し、2021年春と並ぶ水準に増加したと評価した。一方、先行きに対する消費者の見方は悲観的で、物価高と金利上昇に直面して支出を控える初期の兆候を示している可能性があると指摘。今後6カ月以内に住宅や自動車などの高額商品の購入や旅行を計画している消費者は減少傾向と述べた。

小売売上高と同日に発表された2月の卸売物価指数は前月比0.1%低下と、市場予測の0.3%上昇を下回った。1月の企業在庫は前月比0.1%減少で、2021年4月以来の減少に転じるなど、軒並み弱い数字だった。14日の消費者物価公表後のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)による、次回3月21、22日の連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利引き上げ幅の市場予想は、前回と同じ0.25ポイント引き上げと、引き上げなしの予想がほぼ拮抗(きっこう)していたが(2023年3月15日記事参照)、15日にこれら指標が発表されて以降は、引き上げなしの予想がさらに高まる結果となっている。

(樫葉さくら)

(米国)

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