バイデン米政権、輸出管理違反の米3Dプリント企業と和解

(米国、中国、ドイツ、台湾)

ニューヨーク発

2023年03月01日

米国のバイデン政権は2月27日、米国の3Dシステムズ・コーポレーション(以下、3D)との間で、同社の輸出管理法令違反について和解したと公表した。

3Dは、商務省がデュアルユース品目について管轄する輸出管理規則(EAR)と、国務省が武器関連品目について管轄する武器輸出管理法(AECA)と国際武器取引規則(ITAR)に抵触していた。今回、両省がそれぞれの権限で3Dと和解を締結した。

商務省のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、3Dは事前の許可なく、EAR上の規制品目を中国とドイツに輸出して、19の違反事項に抵触していた。中には、軍事用電子機器向けの設計データをメールで送信したことも含まれている。商務省のジョン・ソンダーマン輸出管理執行室長は「本日の執行事例は、米国企業が3Dプリントの業務を国外に移転し、技術データの輸出規制を無視しているという厄介な傾向を浮き彫りにしたと述べ、警鐘を鳴らしている。商務省は2022年6月、3Dとは別の3Dプリント関連の米国企業3社に対して、輸出特権を停止する暫定命令を発しており、設計データの輸出に警戒感を強めている(2022年6月9日記事参照)。商務省は3Dに対して、罰金約278万ドルの支払いのほか、第三者の顧問役を雇い、商務省が定める輸出管理を順守するプログラムを完了することを義務付けた。

また、国務省のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、3Dは2012~2018年に中国、ドイツ、台湾向けに、ITAR違反となる輸出または再輸出などに関与していた。これは、おおむねEAR違反と重複する内容と考えられる。国務省は3Dに対して、罰金2,000万ドルの支払いを命じたが、このうち1,000万ドルは国務省が承認する同社のコンプライアンス強化プログラムのために使われることを条件に、執行を猶予するとしている。そのほか、同社が最低1年間、コンプライアンス担当の外部専門家を採用することなどを求めている。

バイデン政権は2月16日に司法省と商務省を中心に、米国内12都市圏で輸出管理の執行強化に取り組む専門部隊も設立しており、今後、今回のような事例が増えていく可能性がある(2023年2月17日記事参照)。

(磯部真一)

(米国、中国、ドイツ、台湾)

ビジネス短信 0d4bb011e981d53e