通商交渉本部長がCHIPSプラス法の協議のため訪米

(韓国、米国)

ソウル発

2023年03月09日

韓国産業通商資源部は3月7日、半導体を巡る通商上の懸案の協議などのため、安徳根(アン・ドックン)通商交渉本部長が8日から10日にかけて米国ワシントンを訪問すると発表した。

今回の協議では、米国の商務省、ホワイトハウスなどに対し、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づく財政支援の詳細な指針(NOFO:Notice of Funding Opportunity)とガードレール条項(2023年3月3日記事参照)が、韓国の半導体産業に、(1)不確実性の助長、(2)企業経営や技術の権利侵害への懸念、(3)対米投資の魅力度低下などをもたらしうることを問題提起するとしている。あわせて、米国の半導体サプライチェーンの安定性や高度化のために韓国企業の存在が欠かせないことを強調し、財政支援の支給条件を具体化する過程で、個別企業が交渉余地を最大限確保できるように支援する考えだ。

「朝鮮日報」(3月8日)は、サムスン電子がNAND型フラッシュメモリーの40%、SKハイニックスがDRAMの40%とNAND型フラッシュメモリーの20%を中国で生産し、それぞれ33兆ウォン(約3兆4,650億円、1ウォン=約0.105円)、35兆ウォン以上を中国に投資してきたことに言及している。その上で、「(ガードレール条項により)先端プロセスへの転換が不可能になった場合、サムスン電子とSKハイニックスが中国で生産する半導体が来年から20%程度減少する」との市場アナリストのコメントを掲載している。さらに、SKハイニックスが2022年にインテルから買収した大連のNAND型フラッシュメモリー工場について、適切なタイミングで工場のアップグレードができない場合、同社はかなりの被害を受けるとの見方を示している。

(当間正明)

(韓国、米国)

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