ジェトロ、ビジネス環境向上に向け、山東省政府との対話会を実施

(中国)

青島発

2023年03月23日

ジェトロは33日、山東省済南市で中国国際貿易促進委員会(CCPIT)山東省委員会と共同で「山東省ビジネス環境向上政経対話会」を開催した。

同会議は、山東省におけるビジネス環境のさらなる改善を目的としたもので、2021年度に続き2回目の開催となる。在山東省日系企業が抱えるビジネス上の課題を省政府に提起し、省政府側から関連情報や改善方針などが示された。

写真 対話会の様子(ジェトロ撮影)

対話会の様子(ジェトロ撮影)

出席した日系企業からは「カーボンピークアウト政策に伴う生産活動への影響」「新型コロナウイルスの影響で帰国に制約が生じている外国人に対する現地医療環境のさらなる向上」などの課題が新たに提起された。また、2021年度に提起された課題「安全生産に対する現場監査」の改善が進んだことへの御礼や、山東省における新たな発展分野に関する照会なども行われた。

提起された課題に対しては、会議に出席した省政府の各管轄部門が個別に回答した。カーボンニュートラル政策に関しては、「第145カ年規画期間中(20212025年)に、一定規模以上の企業の工業生産増加額当たりのエネルギー消費量を2020年比約17%減とする」という省内目標が、工業分野全体に向けて設定したものであることや、特定企業向けに同政策に対する奨励や罰則は設けていないことなどが紹介された。

医療環境に関しては、国際的な医療サービスや言語サポートを提供する国際診療所の制度の構築を進めているとした。省内には現在、同医療機関が計40カ所あり、いずれも英語対応可能で、うち13カ所は日本語対応も可能。今回の課題提起を受け、今後は同医療機関に関する情報の更新や発信を強化するほか、日本人居住者が集中する地域の医療機関において、日本語対応可能な医療人材の確保を奨励し、遠隔による通訳や自動翻訳などの活用を推進することで、言語サービスの向上も進めていくという。

省政府が重視する産業の1つとして「水素」が紹介された。化学工業などが盛んな同省では、工業副産物として生じる水素資源が豊富で、水素の貯蔵や輸送においては高圧化や大容量化が課題だとしている。また、燃料電池自動車(FCV)の普及も進めており、現在省内のFCV1,000台以上、走行距離は2,500万キロを超えたという。さらに、青島港では世界で初めて燃料電池が港湾クレーンに適用されるなど、今後も「山東省水素エネルギー産業中長期発展規画(20202030年)」に基づいて産業発展を推進していくとした。

ジェトロでは、同会議において提起された課題について、その進捗確認を行うとともに、今後も日系企業の事業環境に影響を与える課題について提起するなど、山東省ビジネス環境の一層の改善や新たなビジネスチャンスの発掘といった日系企業の支援に取り組んでいく。

(吉川明伸)

(中国)

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