ブラジルの対中輸出シェア、10年間で1.8倍、ブラジル・中国ビジネス委員会が報告
(ブラジル、中国)
米州課
2023年03月22日
ブラジル・中国ビジネス委員会(CEBC、注1)は2月9日、「ブラジル各州の対中輸出」と題する報告書を公開した。
報告書によると、2012年から2021年までのブラジルの対中輸出額は、平均で年8.8%増加しており、同期間の対世界輸出額の年間平均伸び率(1.8%)を大きく上回っている(注2)。州別にみると、首都のブラジリア連邦直轄区を含む全27州のうち、2021年は19州で、国別でみた時に、対中輸出額が最も大きかった。CEBCによると、ブラジルの輸出における中国の存在感は2012年以降増している。同年は輸出額全体の17.2%が中国向けだったが、2021年は31.3%と、割合は1.8倍に大きく増加している。
ただ、中国向け輸出の特徴は輸出品目が限られていることだ。報告書によると、HSコード6桁ベースで上位10品目の輸出だけで、対中輸出額の90.6%を占めている。当該上位10品目について報告書では明記していないが、ブラジル開発商工サービス省が公開しているデータベースcomexstat(注3)によると、2021年の対中輸出で最も金額の割合が大きかった品目は、鉄鉱(HSコード260111)で全体の32.3%、次いで大豆(120190)が同31%、原油(270900)が16.2%、牛肉(020230)が4.4%と続く。この4品目だけで、対中輸出額の83.9%を占める。2022年も順位は若干入れ替わっているが、上位4品目は変わらず、当該品目だけで対中輸出額全体の83.2%を占めている。comexstatによると、同期間の対中輸出量は、鉄鋼(HSコード260111)が2012年の1億6,300万トンから2022年は2億3,600万トンの約1.4倍、大豆(120190)は2012年の2,300万トンから2022年は5,400万トンの約2.3倍、原油は2012年には650万トンだったものが2022年は2,700万トンの約4.2倍、牛肉は2012年の17,000トンから2021年は123万8,000トンの約728.2倍となっている。
報告書では、主要輸出品が一次産品に偏っており、市況価格に影響されやすいことから、こうした輸出品目の偏りを改善する必要があると述べている。なお、製造業が多く集積する南東部(注4)からの対中輸出では、2012年から2021年までの間に、製造品の輸出が増加するなど輸出品目の多様化が進んでいる。
(注1)ブラジル・中国間の貿易と投資の促進、ビジネス環境改善を目的に2004年に設立された非営利組織。北京とリオデジャネイロ州内に事務所が置かれている。
(注2)ブラジルにとって中国は2009年以降、輸出相手国の第1位。第2位は米国。
(注3)CEBCのレポートでも統計データとしてcomexstatが用いられている。
(注4)南東部はサンパウロ州、リオデジャネイロ州、ミナスジェライス州、エスピリトサント州の4州で構成されている。ブラジル地理統計院(IBGE)によると、ブラジルGDPの53.2%が南東部から生み出されている(2016年時点)。
(辻本希世)
(ブラジル、中国)
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