次期エネルギー価格上限を発表、卸価格の低下傾向を反映

(英国)

ロンドン発

2023年03月01日

英国のガス・電力市場局(Ofgem、エネルギー部門の規制機関)は2月27日、2023年4月から3カ月間のエネルギー価格上限(energy price cap)の引き下げを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。標準的な家庭のガス・電気使用量の場合、年間の価格上限は3,280ポンド(約53万7,920円、1ポンド=約164円)とし、2022年11月に発表した現行(2023年1~3月)の4,279ポンドから引き下げるとした(2022年12月2日記事参照、添付資料図参照)。一方、現在適用している「エネルギー価格保証」により、標準的な家庭の支払い額は年間2,500ポンドに制限しているが、4月以降は制限を年間3,000ポンドに引き上げる予定(2022年11月18日記事参照)。そのため、4月以降の家庭の実質的な負担上限は500ポンド上昇することとなる。

エネルギー価格上限自体は現行から約2割減と大幅な引き下げとなるが、この大きな要因は、足元のエネルギー卸価格の大幅下落を受けたもの。今回の発表について、Ofgemのジョナサン・ブリーリー最高責任者は、将来のガス価格の予想は極めて困難としながらも、市場が現在の状態を維持する場合には、次回の価格上限は大幅な引き下げが予想されるとした。7月から9月に適用する次回の価格上限の改定は5月26日に発表する予定。

英国調査会社コーンウォール・インサイトは今後の価格上限について、次回を約2,112ポンド、次々回(2023年10~12月期)を約2,118ポンドとして、それぞれ4月以降の「エネルギー価格保証」の上限3,000ポンドを下回る額で予想している。

また、英国エネルギー企業の業界団体エナジーUKは今回の発表に関して、エネルギー卸価格の低下を反映し、4月以降の「エネルギー価格保証」の上限を現行の2,500ポンドに維持するよう、多くの慈善団体や消費者団体とともに政府に求めているとした。

さらに、今回のエネルギー価格上限引き下げを受け、この傾向が続けば競争市場でより安価な固定料金(料金単価が一定)の取引が再開する可能性もあると言及した。この点については、Ofgemのブリーリー最高責任者も同様の見方を示している。

(菅野真)

(英国)

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