テンセント、模倣品の通報数が大幅減、ブランド保護の取り組み奏功

(中国)

広州発

2023年03月08日

中国IT大手の騰訊科技(テンセント)は2月28日、「2022年WeChatブランド保護報告」の発表会を広東省広州市で開催した。

テンセントが提供する微信(WeChat)は中国で既に生活に必要不可欠なSNSアプリだが、模倣品販売業者に悪用される事例が見られてきた。模倣品販売業者はWeChatのインスタントメッセージや、モーメンツ(注)、グループチャット、動画アカウント、公式アカウント、企業微信(WeChat Work)などの機能を利用して、より巧妙化した権利侵害行為を行っている。

同社は2015年に、模倣品対策プログラムのWeChatブランド保護プラットフォーム「BPP(Brand Protection Platform)」を独自に開発。正規品の権利者はBPPに登録することで、模倣品販売業者の通報や、権利侵害業者の情報入手、侵害品の出品取り下げ申請などを行うことができる(2022年11月24日記事参照)。同社はBPPを通じて権利者との協力を強化しながら、権利侵害行為の撲滅に向けて取り組みを継続してきた。同社の発表によると、登録済みの権利者は2022年末時点で515社に達した。また、同社がBPPを通じて提供した権利侵害品の情報に対し、権利者が真贋(しんがん)鑑定に協力した比率は、2020年の39%から2022年には75%に上昇。こうした取り組みにより、BPPを通じた模倣品の通報数は2020年の42万1,000件から、2022年には22万3,000件とほぼ半減した。なお、2022年に模倣品販売を行ったとして同社が措置を講じたアカウント数は5万8,000件。措置の内容は警告、権利侵害情報の削除、一部機能の制限、サービスの停止などがある。

また近年では、動画アカウントが模倣品販売業者に悪用される事例が増えていることから、同社は動画アカウントの管理も強化している。登録されたデータベースからブランド名などを自動識別し、商標権の提出なしには当該ブランド名が使用できない仕組みを導入している。

このほか、テンセントは近年、警察当局との連携を強化している。2022年には、模倣品販売に関する刑事事件20件以上の摘発と、容疑者200人以上の逮捕に協力。摘発された模倣品は、主に化粧品、スポーツ用品、アパレル、高級ブランド品、酒類などで、被害総額は3億元(約60億円、1元=約20円)以上に上った。

写真 「2022WeChatブランド保護報告」発表会の様子(ジェトロ撮影)

「2022WeChatブランド保護報告」発表会の様子(ジェトロ撮影)

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(謝暁儀)

(中国)

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