メキシコ中銀が政策金利を11%に0.5%ポイント引き上げ、物価上昇再燃に対応

(メキシコ)

メキシコ発

2023年02月13日

メキシコ中央銀行は29日、政策金利を50ベーシスポイント(bp1bp0.01%)引き上げ、11%とすることを発表した。金融政策決定会合で政策金利が引き上げられるのは14回連続となる。202212月に副総裁の任期を終えたヘラルド・エスキベル氏の後任として就任した、オマール・メヒア氏が参加した最初の会合となったが、全会一致で50bp引き上げを支持した。シティ・バナメックスの調査によると、調査対象となる33人のアナリストは25bpの上昇を予測していたが、実際の金利引き上げ幅は市場予想に反した結果となった。

市場予測より大きな政策金利引き上げの理由として、中銀はプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、低下傾向にあったインフレ率が再び上昇し、20231月のインフレ率が7.91%、コアインフレ率も8.45%を記録したことを挙げた。中銀はこれを受け、インフレ率とコアインフレ率の2023年から2024年までの見通しを全期間にわたって上方修正した。インフレ率は2023年第4四半期時点でも4.9%(従来は4.2%)までの低下にとどまり、中銀の目標レンジ(3%±1%)のレンジに収まるのは、2024年第2四半期以降とした(従来は2024年第1四半期以降)。さらに、この予測にはリスクがあるとし、上振れ要因として、(1)高いコアインフレ率の長期化、(2)エネルギーや農産物の価格圧力、(3)(ゼロコロナ政策の緩和による)中国経済の再活性化、(4)為替レートの下落、(5)コスト上昇圧力、としている。一方、下振れ要因としては、(1)予想を上回る世界経済の減速、(2)地政学的対立の緩和、(3)サプライチェーンの改善、(4)コスト上昇圧力の転嫁縮小、(5)食料価格高騰に対する連邦政府の政策が予想より効果を発揮することなどを挙げている。

中銀はインフレ率抑制が経済成長につながることを示唆

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領は、210日のハリスコ州での早朝記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「インフレ率上昇はこれが最後で、今回の上げ幅は1%にも達しなかった。インフレ率はこれから下がると考えている」と述べた。また、中銀に対して、「インフレ抑制だけでなく、経済成長の促進に関心を向けてほしい」と語った。しかし、中銀のジョナサン・ヒース副総裁は自身のツイッターで、「経済成長に対する金融政策の最大の貢献は、物価の安定を生み出すことだ」と述べ、AMLO大統領の発言に反論した。また、ヒース副総裁は「金利引き上げによるインフレの低下は、中長期的な経済成長に貢献する」とし、中銀は引き続きインフレ抑制に注力することを示した(「エル・フィナンシエロ」紙210日)。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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