生産性向上を目的とした新政策方針を発表、年1.5%の生産性向上を目指す

(チリ)

サンティアゴ発

2023年02月03日

チリ政府は1月30日、年1.5%の生産性向上を目的とした政策方針を取りまとめた「生産性アジェンダ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。この政策方針は、財務省と経済開発観光省、労働社会福祉省が共同で主導し、中小零細企業各組合やチリ労働者連合センター(CUT)、チリ生産商工連盟(CPC)の参加協力を得て策定した。

チリの生産性は過去15年間停滞しており、要因として天然資源の輸出を基盤とした経済により産業の多角化が進んでいないことや、新たな投資の開発や新技術の採用の遅れなどを伴う規制上の問題が挙げられている。

同アジェンダの主な内容は次のとおり。

  • 部門別投資許可制度の改革:投資における部門別の許可取得手続きの効率化と処理時間の短縮などを含んだ法案の提出。
  • デジタル化への研修プログラム拡充:デジタル化に対応するための有益な訓練プログラム、オンライン英語コース、再就職プログラムの実施。
  • 革新的な企業に資金提供するベンチャーキャピタル基金の創設:国が投資家と協力してベンチャーキャピタルの投資ファンドへの支援を可能にする法案を提出し、公的資源の有効活用により、投資家にとって魅力的な国となることを目指す。
  • 公証人(Notaría)手続きの要件撤廃:特定の手続きで公証人による手続きの見直し・撤廃をすることで手続きの簡素化を目指す。
  • 貿易、物流処理のデジタル化:空港での書類提出や積み込みなどの一連のプロセスを近代化し、総合的な対外貿易システム(SICEX)の活用を促進する。
  • 海運カボタージュ(注)市場の競争力促進:商船促進法と船舶法の改正法案を提出し、同市場での競争を促し、内国海上輸送の大幅な効率化と運賃の低下を図る。
  • 女性・若年層に重点置いた雇用助成金の再設計:現在ある雇用助成金制度の見直しを行い、新たに更新・統合した雇用助成金を再設計する。
  • 公共調達への中小企業や協同組合など地元の供給業者の参加推進:議会で既に議論されている公共支出に関する質の改善、公正さ、透明性の基準を高めることなどの法案化の推進。

(注)海運カボタージュとは、国内港間の旅客、貨物の沿岸輸送のこと。

(岡戸美澪)

(チリ)

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