上下両院で政権与党が支持した現議長が再選、税制改革を優先課題に議会調整基盤固めに一歩前進

(ブラジル)

サンパウロ発

2023年02月07日

ブラジル連邦議会の議長選挙が2月1日に行われ、上院議長選でロドリゴ・パシェコ氏(PSD:社会民主党)、下院議長選ではアルトゥル・リラ氏(PP:進歩党)が再選した。任期は2年。

今回の両議長選は、2023年に発足したルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領の政権運営に影響を及ぼすとして注目されていた。両議長は各院で法案の優先順位決定権や投票同数の場合の採決権を持っている重要なポストで、議会運営と政府と議会の協力に影響力があるからだ。上院ではルーラ大統領の所属政党の労働者党(PT)などから協力を取り付けて票数を伸ばした。その結果、上院議長選では、全81議席数のうちパシェコ上院議長が49票を獲得し、ジャイール・ボルソナーロ前大統領寄りとみられていたロジェリオ・マリーニョ氏(PL:自由党)の32票を上回った。上院議長選の結果は、法案可決に必要な41票や、憲法改正のために必要な49票を獲得するのに一定の影響を及ぼす。一方、リラ下院議長はボルソナーロ大統領に近いとされる右派政党だが、労働者党(PT)などの支持も得た結果、全513議席のうちリラ下院議長が464票を獲得し、圧倒的な勝利を収めた。

連邦議会では上下両院とも、比較的ルーラ大統領に近いとされる政党の議席数合計が法案可決に必要な過半数を超えておらず、議会との交渉は容易ではないとみる向きが強い。ただ、各政党による議会での連立は依然として流動的だ。2月1日付現地紙「CNNブラジル」は今回の選挙結果を受け、ルーラ政権与党が法案可決に必要な過半数を獲得するために重要な存在となる政党との対話の可能性が残された」との見方を示している。

ボルソナーロ前大統領寄りとみられるロジェリオ・マリーニョ氏(PL:自由党)が上院議長選挙で勝利していた場合は、議会との交渉がより難しくなった可能性がある。

一方、連邦議会下院は2月1日付公式サイトで、立法機関で政治の二極化を避け、政府と一体で税制改革に取り組む重要性を強調している。また、下院と政府間の対話の主な調整役を務めるジョゼ・ギマラエス下院議員(PT)も、複雑な税制に起因する負荷を減らす取り組みは優先度が高く、ブラジル全体で取り組むべきと述べている。パシェコ上院議長は2月1日付現地紙「CNNブラジル」のインタビューで、政府と協力して税を簡素化し、官僚主義を取り除く税制改革をまとめるべきとコメントしている。

(古木勇生)

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