米1月の雇用者数51万7,000人の大幅増、失業率3.4%に低下、時給伸びは鈍化

(米国)

ニューヨーク発

2023年02月07日

米国労働省が2月3日に発表した1月の非農業部門雇用者数は前月から51万7,000人増PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)と、市場予想の18万7,000人増を上回った。また、就業者数が前月から89万4,000人増加し、失業者数が前月から2万8,000人減少した結果、失業率は前月から0.1ポイント低下の3.4%(市場予想は3.6%)だった(添付資料図参照)。なお、雇用者数などの事業者調査部分に関しては、年初に伴う遡及(そきゅう)改定により、過去にさかのぼって数値が今回改定されている。

失業者のうち、一時解雇の失業者は前月より8万人減の73万4,000人、恒常的失業者は前月より8万2,000人減の125万7,000人だった。

労働参加率(注)は、生産年齢人口が前月から111万8,000人増の2億6,596万人、労働力人口が前月から86万6,000人増の1億6,583万人となった結果、前月から0.1ポイント上昇の62.4%だった。

平均時給は33.03ドル(前月:32.93ドル)で、前月比0.3%増(前月:0.4%増)、前年同月比4.4%増(前月:4.8%増)と、前月比、前年同月比でともに鈍化した(添付資料表1参照)。

1月の雇用者数の前月差51万7,000人増の内訳をみると、民間部門は44万3,000人増で、うち財部門が4万6,000人増、主な業種として製造業は1万9,000人増、建設業は2万5,000人増だった。サービス部門は39万7,000人増で、娯楽接客業12万8,000人増、教育・医療サービス業10万5,000人増、対事業所サービス業8万2,000人増など幅広い業種で堅調だった。また、12月は低調だった小売業も3万人増だった。政府部門は7万4,000人増だった(添付資料表2参照)。

1月の人種別失業率は、白人3.1%(前月3.0%)、アジア系2.8%(前月2.4%)、ヒスパニック・ラテン系4.5%(前月4.1%)、黒人5.4%(前月5.7%)だった。

予想外の大幅増となった1月の雇用者数だが、2月1日に発表された12月の雇用動態調査でも、求人件数は約1,100万件と、2022年7月以来の1,100万件台となり、特に娯楽接客サービスの求人件数は193万5,000件、前月からは43万件増と大きく伸びている。一方で、就職支援会社チャレンジャーがまとめたデータでは、米国を拠点とする企業の1月の人員削減数は約10万3,000人と2020年9月以来の多さで、そのうちテック系セクターが4割以上を占めており、大手を中心に人員削減を進めるテック系といまだ人員難に苦しむ娯楽接客という構造が鮮明になってきている。ただし、テック系の人材は雇用流動性が高く、比較的短期に再就職できているとみられ(2023年1月10日記事参照)、全体としての労働市場はいまだ堅調というのが実態だ。ジェローム・パウエル米国連邦準備制度理事会(FRB)議長は先日の連邦公開市場委員会(FOMC)後にディスインフレの兆候を認めつつ、「あと数回の利上げが必要」と語ったが(2023年2月2日記事参照)、今回の雇用統計はこれを支持する結果となったと言えそうだ。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(宮野慶太)

(米国)

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