2022年下期の業況感はプラス続くも低下、景気動向調査

(タイ)

バンコク発

2023年02月22日

バンコク日本人商工会議所(JCC)は1月31日、「2022年下期タイ国日系企業景気動向調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公表した。調査の結果、在タイ日系企業の業況感DI(注)は2022年上期に27で、2021年下期(26)からプラス幅が微増したが、2022年下期(見通し)は21で、2022年上期から引き続きプラスとなったものの、プラス幅は縮小した。新型コロナウイルス関連の規制緩和がプラスの影響になったが、原材料やエネルギー価格の高騰、世界的なインフレ、金融政策の引き締めによる輸出需要の減少などがマイナス要因となった。

2022年上期の業況感DIを業種別にみると、電気・電子機械(マイナス7)と食料品(ゼロ)を除く全ての業種でプラスだった。製造業・非製造業もそれぞれ23、32と、ともにプラスだった。2022年下期については、製造業で10となり、前期から悪化した。食料品(0→マイナス10)、化学(23→マイナス8)、鉄鋼・非鉄(21→マイナス8)などの業種で業況感が悪化。悪化の理由として、原材料高やエネルギーコスト上昇、輸出需要の減少などが挙げられた。一方、一般機械(20→40)、輸送用機械(29→32)の業況は改善した。企業の投資再開や、ASEAN各国の自動車生産の回復、半導体不足の一部改善などが改善要因として挙げられた。非製造業の業況感は35となり、前期(32)からやや改善した。貸し付けの増加や自動車保険の加入者増などを受け、金融・保険・証券(36→48)の業況が改善、建築・土木(23→35)も新型コロナ禍で止まっていた入札案件の増加などにより改善した。一方で、業況の悪化した業種として小売り(20→マイナス10)、運輸・通信(30→3)などがある。小売りではインフレによる買い控え、運輸・通信ではエネルギーコストの上昇などが悪化の要因として挙げられた。

2023年上期(見通し)は28となり、2022年下期(21)から上向く見込み。全業種でプラスとなった。インバウンドの増加による経済への好影響、原材料不足の解消などへの期待が上向き要因となった。

(注)業況感DI(Diffusion Index)は、前期と比較して業況が「上向いた」と回答した企業の割合から、「悪化した」とした企業の割合を差し引いたもの。プラスの場合は、前期に比べ業況が改善している企業が悪化している企業よりも多いことを示している。マイナスの場合は、前期に比べ業況が悪化している企業の方が多いことを示している。

(藤田豊、ナオルンロート・ジラッパパー)

(タイ)

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