天然ガス開発プロジェクト再開に向け人道状況評価を開始

(モザンビーク)

マプト発

2023年02月16日

フランス資源大手トタルエナジーズのパトリック・プヤンヌ会長兼最高経営責任者(CEO)は23日、モザンビークのカーボデルガード州を訪問した。同社は、同州での天然ガスのプロジェクト再開の検討を進めている。プヤンヌ会長は州都ペンバで、フィリペ・ニュシ大統領と会談したほか、プロジェクト現場となるアフンギ地区などを訪問した。

同社が主導するエリア1天然ガス開発プロジェクトは、テロリストの活動による同州の治安悪化を理由に「不可抗力」(注)を宣言し、開発が停止している(2021年4月30日記事参照)。同州ではテロ対策と並行して、破壊されたインフラ復興や住民支援が続いている(2023年1月10日記事参照)。

同社のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ブヤンヌ会長は、「不可抗力」を宣言した2021年当時の状況と比較し、同州の治安状況は大幅に改善されたと評価した。特に南部アフリカ開発共同体(SADC)とルワンダ軍による支援(2021年10月21日記事参照)が大きく貢献したという。

宣言の解除とプロジェクトの再開には、治安の回復、公共サービスの再開、住民生活の復旧が必要だとし、人道・人権の専門家として著名なジャン=クリストフ・ルフィン氏に、同州の人道状況評価のための独自任務を委任した。ルフィン氏の報告書は2月末までに作成され、その後、関係者間でプロジェクト再開について協議される見込みとなっている。

現地報道(「オ・パイス」202322日)によると、プヤンヌ会長の訪問に先立つ22日、ニュシ大統領は在モザンビーク外交使節団との新年祝賀会合を開催した。大統領は、これまでのテロリスト対策は平和構築、避難民の帰還促進、コミュニティの再建といった努力が結果に結びついていると強調した。

(注)制御不能な事象の発生により、契約の履行が困難になる場合に、契約の一時停止または終了が可能となる条項。

(松永篤)

(モザンビーク)

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