ベルギーとドイツ、エネルギーサミットを開催、水素や天然ガスで協力強化

(ベルギー、ドイツ)

ブリュッセル発

2023年02月20日

ベルギー連邦政府のアレクサンドル・ド・クロー首相とドイツのオラフ・ショルツ首相は2月14日、ベルギー北部のゼーブルージュで、ベルギーとドイツの2国間では初となる、エネルギーサミットを開催した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。両国首脳のほか、エネルギーや気候変動政策担当の閣僚・高官らが参加した今回のサミットでは、今後の両国のエネルギー分野での協力における優先課題について協議した。

ベルギーとドイツは、従来から同分野で協力関係にあったが、近年はロシアによるウクライナ侵攻や、エネルギー安全保障、エネルギー転換の必要性などにより、連携を一層強めてきた。昨今のエネルギー分野の世界的な変化を受けて、両国の協力関係をより構造的なものへと発展させていく必要があるとし、今後、首脳や閣僚級会合を定期的に開催し、両国のエネルギー自立に向けたイニシアチブで協力していく。

今回の会合では、以下の点が確認された。

  • 水素:遅くとも2028年までに両国間の水素インフラを接続し、関連産業クラスターの育成・統合に取り組む。両国は既にそれぞれ水素戦略(2020年9月9日付地域・分析レポート2022年10月26日記事参照)を策定しており、関連企業や規制当局などの関係者から成る各水素協議会を通じて、双方でモニタリングを行っていく。
  • 天然ガス:ベルギーは、ドイツにとってノルウェーに次ぐ天然ガスの供給パートナー(経由国)で、今後、ドイツへの液化天然ガス(LNG)の輸送能力を倍増させる計画を進めている。工事は2023年中に着工する見込み。水素輸送についても、天然ガスと同じインフラを利用できる可能性があることから、水素分野での連携強化の基盤としても活用する。
  • 再生可能エネルギー:両国を含む近隣国で2022年5月に締結した協力協定(エスビャウ宣言、2022年5月30日記事参照)に基づき、北海地域での再生可能エネルギーの生産拡大を目指し、関係国と協力するとともに、2カ国間では特に、国境をまたいだ洋上風力発電の開発に重点を置く。
  • 電力供給:2020年に稼働した2カ国を結ぶ直流送電線に加え、2本目の送電線建設を検討する。また、電力市場改革や、電力使用の最適化に向け、柔軟かつ新たな仕組みを共同で検討する。さらに、北海での洋上風力発電の開発・統合を促進するため、大陸側欧州と、英国、アイルランドで、電力市場の結合・広域化(カップリング)メカニズムの導入を目指す。

(大中登紀子)

(ベルギー、ドイツ)

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