新興技術での協力拡大など多分野で関係強化に合意、米インド首脳会談

(米国、インド)

米州課

2022年05月25日

米国のジョー・バイデン大統領とインドのナレンドラ・モディ首相は5月24日、東京都内で首脳会談を実施した。会談では、インド太平洋経済枠組み(IPEF)の発足や日米豪印のクアッド(QUAD)首脳会合に対する評価から、ロシア・ウクライナ情勢、新型コロナウイルス対策、経済連携、防衛協力を含む安全保障、気候変動への対応まで多岐に及んだ。

ホワイトハウスの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、バイデン大統領はインドのIPEFへの参加について「開かれ、つながり、繁栄するインド太平洋地域」を確かなものにすると歓迎した。また、両首脳は今回のクアッド首脳会合で得られた成果に加え、参加国同士のパートナーシップが強化されていることを誇りに思うとした上で、両国が4月11日に開催した外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2、注)に触れ、民主主義や自由といった価値観を共有する両国が幅広い分野で緊密な協力関係を有していることを評価した。

ロシア・ウクライナ情勢について、バイデン大統領はロシアによるウクライナ侵攻を非難した上で、両首脳はウクライナに対する人道支援を継続することを約束したほか、ウクライナでの戦争による混乱、特にエネルギーと食料の価格上昇を抑制する対応策に協力する方法について議論したとしている。一方で、会談後に出されたインド外務省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、ロシア・ウクライナ情勢に関する具体的な言及はなかった。

新型コロナ対策などヘルスケア分野について、両首脳は、ロタウイルスや新型コロナに対応するインド初の国産ワクチンの開発・製造につながったとする「米印ワクチン・アクション・プログラム(VAP)」を2027年まで延長するとした上で、新型コロナ以外にも抗菌剤耐性のほか、糖尿病やがんなどの非感染性疾患について協力を拡大するとした。

また、両首脳は重要かつ新興技術でのパートナーシップを拡大するために、両国の国家安全保障会議が主導する米印重要新興技術イニシアチブ(Initiative on Critical and Emerging Technologies (iCET))の発足を歓迎し、人工知能(AI)、量子コンピュータ、移動通信システムの5G・6G、バイオ、宇宙、半導体などの分野で、両国の産学官連携をより緊密化すると明らかにした。

バイデン大統領は「米国とインドがともにできること、これからできることはたくさんある。私は米国とインドのパートナーシップを地球上で最も緊密なものの1つにしていきたい」として、両国関係のさらなる強化に期待を示した。

(注)4月11日に米国で、米国側からアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官、インド側からスブラマンヤム・ジャイシャンカール外相とラジ・ナート・シン国防相が出席して、ウクライナ情勢への対応を念頭に開催。

(葛西泰介)

(米国、インド)

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