バイデン米政権、初回住宅購入者への支援策発表、年間約800ドルを実質的に補助

(米国)

ニューヨーク発

2023年02月24日

米国のバイデン政権は2月23日、初回住宅購入者への支援策を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新型コロナウイルス禍以降、住宅価格は高騰し、加えて、2022年からの金融引き締めにより金利負担も増している。今回の支援策には、中低所得者の住宅購入の経済的負担を軽減し、住宅所有を後押しする狙いがある。

具体的には、連邦住宅局(FHA)による債務保証付きの住宅ローンについて、債務保証部分の保険料を初回住宅購入者につき、現在の年0.85%から0.3ポイント引き下げ、0.55%とする。同ローンの新規借り手のほとんどが対象となり、今回の引き下げにより、例えば、デトロイト(ミシガン州)で20万ドルの住宅ローンを組む場合で年間600ドル、オースティン(テキサス州)で50万ドルの住宅ローンを組む場合で年間1,500ドルが節約できるなどとしており、節約額は全国平均で約800ドルになるとしている。また、同ローン件数は2022年第3四半期(7~9月)で住宅販売全体の7.5%を占め、利用者のうち80%以上が初回住宅購入者で、2023年は全国で約85万人の利用を見込んでいる。保険料引き下げは3月20日から実施し、3月9日に発表する2024年度予算にも反映される。

連邦準備制度理事会(FRB)の2022年来の急速な金融引き締めにより、住宅需要は大きく鈍化している。米国で主流の中古住宅販売件数は2022年通年で前年比17.8%減の503万戸と大きく減速している。だが、価格は、1月の販売価格の中央値が35万9,000ドルと、2022年夏ごろから徐々に低下してきているものの(2023年2月17日記事参照)、前年同月比で見れば1.3%上昇と販売件数ほど鈍化していない。また、30年固定住宅ローン金利の平均についても、直近では6.5%と一時期の7%超からはピークアウトしたものの、1年前からは2倍近い水準で推移しており、FHAローン利用者に多いとされる中低所得者への住宅購入のハードルが高くなっているのが現状だ。

今回の保険料引き下げ措置について、カマラ・ハリス副大統領は会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「住宅所有はアメリカン・ドリームに不可欠な要素だ」「労働者の生活コストを下げ、労働者が家を買い、労働者が潤う時に米国は繁栄するのだ」と述べている。

(宮野慶太)

(米国)

ビジネス短信 cb4f73bd07cde884