米環境保護庁、飲料水の有機フッ素化合物PFAS削減対応に20億ドルの拠出を発表
(米国)
ニューヨーク発
2023年02月14日
米国環境保護庁(EPA)は2月13日、飲料水に含まれる有機フッ素化合物であるパーフルオロアルキルとポリフルオロアルキル化合物(PFAS)などの新たな有害物質に対応するため、全国の自治体が利用可能となる20億ドルの資金拠出を発表した。資金は、2021年11月に成立したインフラ投資雇用法(2021年11月9日記事参照)から拠出される。
バイデン政権は、2021年10月にPFAS規制のロードマップを策定しており(2021年10月21日記事参照)、すでに一部のPFASを有害物質として認定しているほか、2022年6月には水道水などに含まれるPFAS濃度に関して厳しいガイドラインを発表するなど(2022年6月22日記事参照)、PFAS規制の厳格化に乗り出している。インフラ投資雇用法では自治体の飲料水中のPFAS削減への対応などを支援するために、5年間で50億ドルの予算が手当てされており、6月のガイドライン発表時にも、自治体に対して10億ドルの資金支援を行うことが発表されていた。今回はこれに続く一連の予算措置となる。20億ドルの資金は、各自治体がPFASなど新たな汚染物質に対するインフラおよび水源処理に使用できるほか、水質検査の実施に使用できるとしている。
厳格化するPFAS規制などを受けて、米国素材メーカーの3M(本社:ミネソタ州セントポール)は2022年12月に、2025年末までにPFASの製造から撤退し、同社の全製品でPFASの使用を終了するよう取り組むと発表するなど(2022年12月22日記事参照)、一部企業ではその対応に着手している。さらに、ニューヨーク州では衣料製品におけるPFAS化学物質の使用を禁止する法律が2022年に成立するなど、州レベルでも規制の動きが活発になってきている。前述のEPAのPFASガイドラインに拘束力はないが、今後は拘束力を伴ったPFAS規制案を公表予定としており、加速する連邦および州レベルでの規制強化に対して、企業は今後さらにPFAS削減への対応を迫られる可能性がありそうだ。
(宮野慶太)
(米国)
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