ウクライナ関連で米国制裁対象の中国企業、ロシア企業との関係否定

(中国、米国、ロシア、ウクライナ)

北京発

2023年02月01日

中国の長沙天儀空間科技研究院は1月29日、同社がロシアの民間軍事企業ワグネルの関係企業として米国財務省の制裁対象となったことについて、関係を否定する声明を発表した。

米国財務省は1月26日、ロシアによるウクライナ侵攻に加担していることを理由に、ワグネルとその関係企業・個人を金融制裁対象の「特別指定国民(SDN)」に指定し(2023年1月27日記事参照)、その中に長沙天儀空間科技研究院とルクセンブルク子会社のSpacety Luxenburgが含まれていた。Spacety Luxenburgも29日にウェブサイトで関係を否定する声明を公開している。

長沙天儀空間科技研究院は2016年に設立され、合成開口レーダー(SAR)衛星の研究開発や製造、衛星データの提供などを行っている。報道によると、同社はこれまで中国初の商用SAR衛星を含む26基の衛星を打ち上げ、商用リモートセンシング衛星データの国産化などを実現したとされる(「環球時報」1月30日)。

米国財務省は、同社は同じく制裁対象となったロシア企業のテラテックに衛星画像データを提供し、これらのデータがワグネルによるウクライナでの軍事行動に使用されたとしている。

同社は声明で「契約や資金の流れを検査した結果、テラテックやワグネルとの業務上の関係は存在しなかった」とし、顧客とは契約で関連商品の使用を民事・商事向けのみに限っており、軍事用途は含まれていないとした。エンドユーザーリストにもテラテックとワグネルは発見されなかったとしている。

中国外交部は1月30日の記者会見で、米国政府が中国企業はウクライナ侵攻に関してロシアへ軍事的・経済的援助を行っていると指摘したことについて、「米国こそがウクライナ危機をもたらした張本人であり、最大の推進者だ。ウクライナに重火器や攻撃兵器を継続的に提供し、衝突の『長さ』と『激しさ』をエスカレートさせている」と批判した。

(河野円洋)

(中国、米国、ロシア、ウクライナ)

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