大蔵公債省、USMCAとニアショアリング関連投資に6,000億ペソ規模の政策融資制度を発表

(メキシコ)

メキシコ発

2023年02月21日

メキシコのロヘリオ・ラミレス・デ・ラ・オ大蔵公債相は215日、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)と消費地の近隣諸国に事業拠点を移転するニアショアリングによるサプライチェーンの再構築がもたらす機会を享受できるよう、国立貿易銀行(BANCOMEXT)や国立金融公社(NAFIN)を活用した融資プログラムを発表した。このプログラムは15のポートフォリオで構成し、BANCOMEXTNAFINによる融資を行うとし、2023年では融資と保証を付与するために、6,000億ペソ(約42,000億円、1ペソ=約7円)を計上している。この融資には、輸出サプライチェーンのサプライヤーに対する運転資金や、自動車サプライチェーンの契約のための融資(注)、工業団地の賃料支払いへの支援などが挙げられるとした。

デ・ラ・オ大蔵公債相は「ニアショアリングは輸出や投資、雇用創出、われわれの生活水準の向上を促す機会を象徴している。産業を多様化させ、新しいものに挑戦するべく、サプライヤーの支援や製造業の投資を活性化する分野や地域を特定するために重要な時だ。この意味で、イノベーションや技術開発、人材のキャパシティービルディング、新たな工業団地の設置、中小企業に対する支援を提供するために、公共や民間の政策を見直す必要がある」と述べた。

BANCOMEXTおよびNAFINのルイス・アントニオ・ラミレス頭取は「このプログラムは、USMCAによるより大きなビジネスの統合とニアショアリングによるメキシコへの外国直接投資の誘致を目的とし、輸出促進だけでなく、サプライヤー開発や国内産業の能力強化を目指している」と述べた。また、ポートフォリオについて「自動車部品、航空宇宙、コンピューティング、電気電子機器、化学、医療機器、ロジスティクスなどの戦略的分野を促進していきたい」と発言した。

メキシコ銀行協会(ABM)のダニエル・ベッカー代表は「メキシコは今後20年から50年にわたって国の様相を変える可能性があるニアショアリングの機会を提供している。この機会を活用しないわけにはいかない」と述べた。さらに、ニアショアリングへの関心は、少なくとも最初の段階で約47,000人の新規雇用を生み、400の企業を誘致することができると付け加えた。

メキシコの民間工業団地協会(AMPIP)は「企業のサプライチェーンの生産移転によって、メキシコの工業団地の利用率が歴史的記録を打ち立てており、この要因は新規企業や、グローバル企業が要求する脱炭素化の目標を達成するために必要な熟練した労働力や信頼できる電力系統、クリーンエネルギーの生成などがメキシコに存在することを示唆している」と述べた。(「レフォルマ」紙216日)。

(注)自動車産業で一般的なIATF16949(自動車産業品質マネジメントシステム規格)などの認証取得を支援する目的の融資などを指すと思われる。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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