北京市、2022年の実質GRP成長率は0.7%にとどまる

(中国)

北京発

2023年02月01日

中国・北京市統計局の119日の発表によると、北京市の2022年の実質域内総生産(GRP)成長率は前年比0.7%と、2021年の8.8%から8.1ポイント縮小した。産業別のGRPでは、第一次産業、第二次産業、第三次産業はそれぞれ1.6%減、11.4%減、3.4%増となった。

主要経済指標をみると、投資(固定資産投資)は前年比3.6%増となった。うち、インフラ投資は5.2%増、不動産開発投資は1.0%増とプラス成長を維持した。産業別でみると、製造業向けは18.4%増となったほか、科学研究と技術サービス業(60.7%増)、金融業(41.3%増)、情報輸送・ソフト・ITサービス業(36.0%増)、リース・ビジネスサービス業(31.0%増)への投資が高い伸びを示した。

消費については、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、社会消費品小売総額は前年比7.2%減となった。財の消費(6.6%減)と飲食収入(15.2%減)はいずれも減少した。油・食品(6.0%増)、飲料(2.4%増)といった生活必需品や、宝石類(10.6%増)の消費は前年より増加した。また、自動車関連品の小売総額は13.4%減となったものの、新エネルギー車は17.1%増となった。

このほか、消費者物価上昇率は前年比1.8%に抑えられたほか、都市部調査失業率は4.7%となり、2022年の市政府目標(5.0%以内)を達成した。また、1人当たりの可処分所得は前年比3.2%増の77,415元(約147885円、1元=約19円)となった。

北京市政府が2023128日に公表した「2023年政府活動報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、同市は2023年の実質GRP成長率目標を4.5%以上に設定した。このほか、都市部調査失業率を5%以内、消費者物価上昇率を3%前後、住民の所得の伸び率を経済成長率と同水準にするとしている。

また、2023年の具体的な取り組みについては、消費の回復と拡大を優先課題に位置付け、「15分間便利生活圏」(注)を80カ所建設すること、京東方科技集団(BOE)の北京第6世代生産ライン(LTPO技術を使って仮想現実向けのディスプレーを生産する)などの重点プロジェクトを着工させることを盛り込んだ。さらに、集積回路研究開発重点プロジェクトの建設を強化し、国家サイバーセキュリティー産業園など情報技術のモデルプロジェクトを建設すること、5G(第5世代移動通信システム)基地局の数を1万カ所以上新設し、より優位性のあるデジタル産業クラスターを構築することなどを盛り込んでいる。

注)北京市は2022712日、「15分間便利生活圏の建設を加速し、生活サービス業のグレードアップを促進するための若干の措置」を発表。この政策を受け、同市は自宅から徒歩15分圏内で日常生活に必要な食品・消費財などを購入できるように商業施設などの整備に取り組んでいる。

(張敏)

(中国)

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