世界各国の英語能力評価、メキシコは3年連続で「非常に低い」に分類

(中南米、メキシコ、コスタリカ、世界)

メキシコ発

2023年02月06日

欧州言語共通参照枠(CEFR:The Common European Framework of Reference for Languages)に合致する世界的の標準英語試験の「EF英語標準テスト(EF SET)2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の結果によると、メキシコは調査対象111カ国・地域中88位となり、能力指数は3年連続で「非常に低い」に分類された(添付資料表1参照)。同試験には、欧州35カ国、アジア24カ国・地域、中南米20カ国、アフリカ20カ国、中東12カ国から合計210万人がオンラインで受験し、当該国受験者の得点平均によって順位付けされた(注1、2)。メキシコは中南米20カ国中19位で、最下位のハイチのみを上回った。

州別にレベルをみると、ケレタロ州が最高の529点で、次いでハリスコ州(524点)、ヌエボレオン州(515点)、南バハカリフォルニア州(514点)、メキシコ市(507点)、ミチョアカン州(500点)だった。ただし、ケレタロ州においてもレベルは「標準的」で、それ以上のレベルに分類された州はなかった(添付資料表2参照)。

過去の試験結果によると、メキシコは2011年のみ「標準的」に分類されていたが、2012~2019年は「低い」となり、2020年以降は「非常に低い」になっている。参加国数は毎年変動するものの、当該年の平均得点別にレベルが分類されるため、メキシコの英語能力は低下していることが分かる。

中南米・カリブ地域から参加した20カ国の中では、アルゼンチンが111カ国中30位に入り、中南米20カ国中で唯一、能力が「高い」に分類された(添付資料表3参照)。また12カ国が「標準的」、5カ国が「低い」、メキシコとハイチが「非常に低い」だった。男女別の素点では、ハイチとウルグアイのみ、女性が男性よりも得点が高かったが、その他の国では、男性の得点が10~25ポイント上回った。

バイリンガル人材の強みを生かすコスタリカ

コスタリカは37位の「標準的」だが、首都のサンホセ州や隣のエレディア州は「高い」に分類されている。人口は約520万人、公用語はスペイン語と英語で、バイリンガル人材が多いことが特徴だ。そのため、同国は米国企業のコールセンターの配置先として活躍をしてきた。近年は、言語の親和性や時差の少なさ、また国内フリーゾーンなどを活用し、欧米企業を中心に精密機械や医療機器の製造分野で誘致に成功している。例えば、米国インテルは2020年12月、アジアや米国の半導体生産シェアを下げるため、コスタリカに3億5,000万ドルの投資を発表していたが、2022年10月にその額を10億ドルに引き上げるとした。日本企業に関しては、テルモが2022年9月15日、4,200万ドルを投資し、同国3カ所目の生産拠点を開業した。他の2工場で生産する脳動脈瘤(りゅう)の治療用コイルに加え、新工場では心臓外科手術用の人工肺やチューブを生産する。

(注1)本試験の特徴は、英語を母語としていない国々の間のスキルレベルを簡単に比較できること。メキシコの人口の93.8%がスペイン語話者で、5.4%が先住民言語、0.8%がその他の言語。

(注2)日本は111カ国中80位、またアジア24カ国・地域中14位で、能力レベルは「低い」だった。

(志賀大祐)

(中南米、メキシコ、コスタリカ、世界)

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