防疫措置の緩和による往来回復の本格化に期待、在香港日系企業アンケート調査

(香港)

香港発

2023年02月01日

ジェトロは在香港日本総領事館、香港日本人商工会議所と共同で、在香港日系企業などを対象にした「第11回 香港を取り巻くビジネス環境にかかるアンケート調査」を実施し(1月5~11日)、その結果を2月1日にジェトロウェブサイト上に調査レポートとして公開した。主なポイントは以下のとおり。

DI値は前期から上昇も、今後の見込み値はほぼ横ばい

2022年7~12月期のDI値(注)は、前期の2022年1~6月期と比べ12.6ポイント上昇のマイナス4.1となった。2023年1~6月期のDI値(見込み値)はマイナス3.7で、2022年7~12月期比でほぼ横ばいだった(添付資料図参照)。

国家安全維持法について6割超が「影響は生じていない」

香港国家安全維持法施行について「大いに懸念している」(5.9%)、または「懸念している」(34.8%)と回答した企業は計40.7%となった。懸念理由として、「人材が流出し、優秀な人材の確保が困難となる恐れがあるから」(69.9%)との回答が最も多かった。一方、法施行の影響について「影響は生じていない」との回答が62.1%と最も多く、「マイナスの影響が生じている」は19.0%にとどまった。

過去1年間に「人材流出があった」が半数以上

香港域外への人材流出や域内での人材不足の課題について、「人材流出があった」と回答した企業は全体の56.3%にのぼった。「人材流出があった」と回答した企業のうち、38.1%は代替人材の確保が「できなかった」または「募集中」と回答し、19.4%が「人材の確保に課題があり、業務遂行や売り上げなどに影響が出ている」と回答した。

中国本土および香港の防疫措置緩和による往来回復の本格化に期待

約3年間続いた新型コロナウイルス感染対策の厳しい防疫措置による影響については、中国本土では「客先・取引先訪問の制限による営業機会損失」、香港では「他国・地域と比べ香港の魅力が低下」などが挙げられた(自由記述形式)。中国本土および香港の防疫措置緩和により、本格的な人の往来回復への期待が大きい。

日本への正しい情報発信によりネガティブイメージの改善を期待

総領事館、ジェトロおよび商工会議所に対する要望、また香港政府への期待について尋ねたところ(自由記述形式)、日本側への正しい(偏りない)情報発信および情報開示により、香港のネガティブイメージの改善を求める声が多く寄せられた。

(注)DI値はDiffusion Indexの略で、「改善」と回答した企業の割合から「悪化」「大幅悪化」とした企業の割合を差し引いた数。

(山口雅史)

(香港)

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