西アフリカで進展するリチウム開発、マリが地域初のリチウム生産国に

(マリ、ガーナ、コートジボワール)

アビジャン発

2023年02月03日

西アフリカ地域でリチウム開発が加速している。中でも、マリとガーナでの生産が有望視されている。アメリカ地質研究所(USGS)によると、世界の確認されているリチウム埋蔵量8,900万トンのうち、アフリカでは、コンゴ民主共和国が300万トンでトップだが、マリが70万トンで続く。ガーナも13万トンで、3位のジンバブエ(50万トン)に次ぐ4位となっている。そのほか、コートジボワールも、その潜在性が注目されており、外国企業による探鉱が進められている。

リチウムは主に電気自動車(EV)やスマートフォンなどのリチウムイオン二次電池の原料として使用されるなど、世界的に需要が増大している。国際エネルギー機関(IEA)によると、今後もリチウムイオン電池の需要が拡大し、2040年までに2020年比で48倍に成長するとみられる。

マリでは、首都バマコから150キロのグラミナリチウム鉱山で2023年に本格的な生産が開始される予定で、西アフリカ初のリチウム生産国となる見通しだ。同鉱山を操業するオーストラリアのレオ・リチウム(Leo Lithium)は、EV向けリチウムイオン電池などを生産する中国ガンフォン・リチウム(Ganfeng Lithium)とパートナーシップを組成して開発を進めている。一方、マリは内陸国のため、同社は2022年11月、精鉱の輸出に関して、コートジボワールのアビジャン港でバルク貨物ターミナルのコンセッションを運営しているベルギーのシーインベスト(SEA-invest)と港湾サービス契約を締結した。アビジャン港への初出荷は2023年末を予定している。マリではこのほか、英国のコダル・ミネラルズが南部ブグーニ鉱山で開発を進めている。

ガーナでは、英アトランティック・リチウム(Atlantic Lithium)が南部のケープ・コーストのエウォヤ鉱山で開発に着手しており、事前事業化調査では、鉱山生涯収益が50億ドルに達すると予測している。同社はEV市場向けに水酸化リチウムを供給する米ピードモント・リチウム(Piedmont Lithium)との間で出資契約を締結している。

コートジボワールでは、キプロスを拠点とするファイアーリング・ストラテジック・ミネラルズ(Firering Strategic Minerals)がマリとの国境に近い北西部のアテックス鉱山で探鉱を進めている。現在、オーストラリアのリッカ・リソーシズ(Ricca Resources)と共同で1,860万ドルを投入し、第2次探鉱プログラムを実施している。また、アフリカン・ゴールド(African Gold)は1月25日、金鉱開発を行うアグボビル鉱山で、リチウム含有鉱石のペグマタイト鉱床の有望な鉱脈を発見したと発表した。

(渡辺久美子)

(マリ、ガーナ、コートジボワール)

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