中・東欧の経済、回復力を発揮、成長を保つ

(中・東欧、西バルカン、オーストリア、ロシア、ウクライナ)

ウィーン発

2023年02月20日

ウィーン比較経済研究所(WIIW)は130日、中・東欧と西バルカン諸国の冬季中期予測を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2023年の経済(GDP)成長率はほとんどの国で著しく減速するものの、ハンガリー以外はプラスを維持できる見通しだ(添付資料表参照)。同予測の首席担当者であるリチャード・グリーフソン副所長は「高インフレが家計にも企業にも大きな問題をもたらしているが、この地域の国々は再び印象的な回復力を発揮した」と述べ、「同地域がガス消費を大幅に減らすことに成功したため、エネルギーを武器にするという(ロシアの)ウラジーミル・プーチン大統領の戦略は失敗した」と加えた。

2023年の中・東欧のEU加盟11カ国の平均経済成長率(予測)は1.0%で、ユーロ圏を0.8ポイント上回る。南東欧のEU加盟国(クロアチア2.5%、ルーマニア2.4%、ブルガリア1.5%)はビシェグラード4カ国(平均0.6%、注)より回復力が強い。西バルカン諸国は平均1.8%だ。

WIIWによると、多くの国はすでにロシアのウクライナ侵攻による経済的ショックから立ち直ったとしている。「ウクライナ戦争が悪化しない限り、2023年後半に中・東欧、西バルカンの景気は回復する可能性がある」「しかし、ウクライナ戦争は依然として最大の下方リスクだ」とグリーフソン副所長は述べた。WIIWは、消費者物価上昇率はピークを越え、今後はさらに低下していくとし、各国の国立銀行は金融政策を緩和する可能性があり、それが成長の要因にもなり得ると分析した。

WIIWは、ウクライナとロシアの経済見通しについても発表した。ウクライナの経済成長率は2022年に前年比マイナス30.0%となったが、2023年にはプラスの3.0%と緩やかに回復する可能性がある。ロシアは、2022年にマイナス2.5%となった。2023年は、主に部分的動員、対欧州ガス輸出の減少と西側の石油制裁(2022126日記事参照)の影響により、マイナス3.0%となる見通しだ。

中・東欧の経済回復力は、オーストリア経済にも有利に働く。WIIWの分析によると、2022110月の中・東欧EU加盟11カ国と西バルカンへの輸出額は、前年同期比24%増で輸出全体の伸び(18%増)を上回った。「これは、オーストリア経済にとって、同地域が依然として潜在性を有する(有望な輸出相手先である)ことを示している」とグリーフソン副所長は指摘している。一方、対ロシア輸出(6%減)、対ウクライナ輸出(20%減)は大幅に減少した。

(注)ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーの中・東欧4カ国。

(エッカート・デアシュミット)

(中・東欧、西バルカン、オーストリア、ロシア、ウクライナ)

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