IMFからの金融支援は2023年に持ち越し

(スリランカ)

コロンボ発

2022年12月28日

スリランカのシェハン・セマーシンハ財務担当副大臣は12月21日の記者会見で、IMF理事会による総額29億ドルの支援パッケージに対する承認の遅れを認め、2023年第1四半期(1~3月)の承認を目指すと明らかにした。

スリランカはIMFからの金融支援について、実務者レベルで9月に暫定的に合意していたが(2022年9月5日記事参照)、理事会による正式な支援決定は得られていなかった。承認に当たっては、債権国による資金保証と国内の構造改革が必要とされている。このため、政府は増税や課税対象の拡大、国有企業再編などの改革案を策定するとともに、債権国との債務再編交渉を続けている。政府は債務再編交渉を完了した上で、IMFからの正式承認を2022年内に得ることを目標に掲げていたが、2023年1月以降に承認はずれ込むことになった。

セマーシンハ財務担当副大臣は承認の遅れの原因について、債権国との交渉が長引いているためだと説明している。最大債権国の中国や主要債権国のインドに加えて、日本など先進国が構成するパリクラブ(主要債権国会議)の加盟国からも、債務再編に関する正式な回答を得られていないという。12月9日には、IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事が中国を訪問し、李克強首相と会談した。中国はスリランカへの支援に対して前向きな姿勢を示したが、具体的な進展は未知数だ。

IMFによる支援については、4年間で29億ドルの融資そのものに加えて、国際的な信用度の回復、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)など他の国際機関からの融資の獲得などが期待されている。スリランカは国際的な信用度が低いため、企業の資金調達に影響が生じている。

(大井裕貴)

(スリランカ)

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