税関がACFTAにかかるトラブル事例を紹介し注意喚起

(タイ)

バンコク発

2023年02月22日

タイ税関は111日、ASEAN中国自由貿易協定(ACFTA)のトラブル事例をウェブサイトに掲載した。4人乗り電気ゴルフカートを輸入したA社は関税番号8703.90.13(救急車)として、ACFTAの原産地証明書(C/O)のフォームEを提出し、特恵関税率を申請した。A社はフォームEの第8欄(原産地規則)に「WO(完全生産品)」を指定していた。

税関担当官による審査の結果、当該品に使用されている電池に「Made in USA(米国産)」と記載されており、原材料の全てを中国で国内調達したという「WO」の原産要件を満たさないことが指摘された。タイ税関は当該輸入製品を8703.10.10(ゴルフカー)に再分類した上で、40%の関税率を適用した。A社は関税評価に対して不服を申し立てた。

税関担当官は、今回問題となったフォームEについて、ACFTAの下で合意されたとおり、3カ月の検認期間と、その後2カ月の延長期間が終了するまで、中国の発給当局側に3度説明を求める要請を送ったが、期間内に回答はなかった。その結果、当該輸入品はACFTA特恵税率の適用資格なしと判断した。不服申し立て委員会(Appeal Board)は当該ゴルフカートについて、8703.10.10に分類し、40%の関税率が適用されるとあらためて決定した。

タイ税関は上記事例について、間違った原産地基準を申告したため、関税特権の資格を喪失するトラブルの一例だとして、FTAの利用前に規則や基準、条件などを十分に調べるべきだとした。また、正しい関税コード申告と原産地基準を確認するため、タイ税関が提供している関税分類と原産地基準に関する事前教示制度を利用することを推奨した。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ)

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