電子データの国際的な取引に係る関税法令の整備が進行

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年02月15日

インドネシア財務省は2023年1月15日、「使用目的の輸入物品の引き取りに関する財務大臣規定190/PMK.04/2022号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を施行した。本法令の施行により、ソフトウエアなどのデジタル製品に対する輸入関税の課税根拠が整備された。

本規定では、ソフトウエア製品や電子的に送信されるその他のデジタル製品など、無形財の取引を、輸入貨物の引き取り行為の対象とした。ソフトウエアについては、特例として、その引き取り行為は電子的な送信で行うことができ、物品輸入通知書(PIB)(注)の記載事項の簡略化や、税関検査の免除などが適用されるとされた。なお、インドネシアにおいては、ソフトウエアなどの無形財に対し第99類のHSコードが割り振られておりPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、現状では関税率は0%とされている。

これまでも世界的な貿易取引の慣習として、パイプラインを通じて取引される電力やガス、液体といったものを除き、無形物は課税の対象外とみなされている。ただし、電子商取引に関する国際的な貿易のルール形成に関しては、日本の総務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、2019年からWTOにおける電子商取引交渉(有志国会合における交渉)が開始している。なかでも電子商取引の円滑化要素(貿易手続きの電子化促進、電子署名の受け入れなど)や、電子商取引の自由化要素(データ流通の促進、サーバ設置要求の禁止、電子的送信への関税不賦課など)などについて議論が行われている。

今回の財務大臣規定については、現時点においては施行直後ということもあり、具体的な申告方法については不明な部分が多い。今後どのような運用方法がとられるのか、関連情報の発表が待たれる。WTOの議論などとの整合性の面からも注視していく必要がある。

(注)物品輸入通知書〔Pemberitahuan Impor Barang(PIB)〕は、税関区域(保税蔵置場、経済特区の税関地域、自由貿易・自由港地域の税関地域を除く)などから使用目的の輸入貨物を引き取る場合、輸入関税や物品税(VAT)を計算したうえで提出する、輸入申告書類。

(中村一平、八木沼洋文)

(インドネシア)

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